設計者のお寒い耐震設計力

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今も昔も、構造計画と間取りをうまく両立させていくのが、設計の基本です。

しかし、間取りを考える設計者(意匠設計者)の中には、安定した構造計画など全く顧みず、いたずらに見栄え写りの良い間取りだけを考える設計者もそれなりの数が存在しています。

間取りの主導権は、構造設計者が持っているのではなく、意匠設計と言われる、いつも建築主と顔を合わす人たちが持っています。しかし、かれらは構造計画という基本的なことがらすら顧みない人たちも多く、その結果、構造的に無理な間取りがつくられてしまうことが起こります。

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構造を軽視した設計者が少なからずいること。

下の図が一つのケースなのですが、変形した間取りは、地震時には「堅さの違う床の接点にひずみが生じやすく」なりますからその弱点を補強しないと地震には弱いです。でも、構造の基本を知らない限り、そのような弱点があることすら気づきません。かれらは、ただただ、見栄えのする間取りを考えて設計してしまいます。
そして、そのような人が人が設計した建物には、構造的なリスクがより以上に隠されているんですね。。

地震で被害を受けているのは、実は構造計画に無理があった建物なのです。
必ずしも古いから弱いとか、耐力壁の量が少ないから弱いと言うほど単純な世界ではなく、変形した、構造的に無理な間取りの建物ほど耐震性は弱くなります。
そして、構造計算をしているから安心・・なのではなく、実は無理な間取りに構造設計者が計算上のつじつまを合わせているに過ぎないのです。なぜなら、上の図だって、計算上のつじつまは合うのですから。

普通の設計者でも、耐震等級まで自分で設計できる人は未だに少数派。構造設計者に依存)

今まで数回に分けて、建物に加わる地震力とは、重さに関係するし、本当は、計算は簡単なのだといった趣旨のことを説明してきましたが、

  • 「層せん断係数」なんて言葉を知っている意匠設計者は一握りの人たちでしょう。
  • 自分が設計した建物の重さを計算できる人も一握りの人たちでしょう。
  • そして、未だに耐震等級の話を避けて通る設計者がいるのも事実です。

 

ほとんどの設計者は、耐震設計など構造設計者の仕事だとばかりに、間取りだけを考え、後は構造設計者に依存してしまっているのが現実です。
そして、施主さんの了解を得てしまった間取りはもう変えられないので、構造設計者がその尻ぬぐいをさせられます。
構造計算でのつじつま合わせです。
まだまだ耐震設計に関しては建築主の期待とは裏腹に、設計者のお寒い実態がこの業界の一部にあるのは事実です。 そして、脅かすわけではありませんが、次ページではもっとお寒い法律の世界を少しだけご紹介していきます。

注:過半の設計者は、構造計画を知る知らないにかかわらず、結果として安全な設計をしています。
注:ブログやWEBで、長期優良住宅(耐震等級2が必須条件の一つ)を薦めていたのは、このような設計者あるいは住宅会社の設計能力の踏み絵にもなるからですね。

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