予算提示はすべきか?

 注文住宅では予算を住宅会社に言う場合があります。

それ自身はなんら問題のない行為ですが、往々にして、言っていた予算から、提出された見積もりがオーバーしていることがよくあります。
そういうときは、『2000万円までに~、と予算を伝えていたのに、2300万円もかかっている。我が家の予算を考えてよ~』・・と言いたくなりますね。

 

オーバーしている原因は、一つには、もともとその想定していた予算が無理だったという「建築主側の読みの甘さ」が原因の場合もあります。そういう場合は仕方ないのでおいといて。。。

普通の業者は、予算を聞いたから、「ぼったくってやろう」と考えてはいませんが、ここに業者という立場があります。

■相手の立場を理解しておこう!
 見積もりをする人は、あなたから給与をもらっているのではなく、その会社から給与をもらっています。予算は聞いているけど、その予算で、かつ、希望を叶えようとすると自分たちの利益を圧縮しなければならない・・としたら、そんな事は立場的に考えませんね。(競合がいて、値引き交渉の段階になれば別ですが。)

つまり、顧客の顔を立て、顧客の予算と希望を優先させ、かつ、自社の適切な利益を確保するという相反する命題を住宅会社の担当者は抱えるのです。
顧客の予算と希望を優先させ、自社の利益を減らす選択はありません。
言い換えれば、顧客と住宅会社は、「良い家を建てましょう」という抽象的な共通項は一致していても、各論となる現実の金銭の感覚は全く逆なのです。

予算提示をする際には、こと金銭において、あなたと相手の立場は正反対であることをまず、理解しておく必要があります。

■予算提示は談合と似ている
 上のような表題を書けば奇異に感じると思いますが、予算提示は、談合と同じように提出される見積上限を設定したことになります。

 ところが・・
談合では、工事の予算が内緒で提示されます。そして、入札では計ったように、予算額の98%前後で落札されます。まるで茶番ですが、せっかく予算があるんだから、予算を目一杯使おうよ。ということですね。役所も予算内であれば自分の腹も痛みませんし・・・
これは予算があることの、ある意味での弊害です。

実は、似たような心理を住宅会社が持つことがあります。

■予算オーバーしても住宅ローンを増やせば良いさ!

それは、一番上の例のように、注文住宅が契約までに至る過程の多くは、当初予算からオーバーしたが、ある程度希望を叶えるために多くの人は、最初の予算からオーバーしても、追加支出をして希望を叶える方に動く・・という経験則を住宅会社は持っているのです。

こういった例を幾度も経験していると、『予算、予算と言ったって、多少はオーバーしても住宅ローンなどを何とか工面して、ある程度オーバーした金額で決めるでしょう』
・・と読みを張ってきます。

そして、聞いていた予算なんて関係なく、『いや~。やっぱりこれくらいかかってしまいますね。夢を叶えましょう』『一生に一度だから』攻勢をかけられる羽目になるのです。
事実、私が知る話で、予算を提示して、予算通りの見積が上がってきた・・なんて話はほとんど聞いたことがありません。

もちろん、建築主側の予算の見通し甘さもあるでしょうが、最初の予算からオーバーしがちなのは住宅の常。その追加予算は、建築主がどうにかしている。。という経験則は住宅会社ならみんな持っている事なのです、

つまり、最初の例のように、予算を言われても住宅会社にとっては、あまり関係のないことなのです。出来ないモノは出来ない・・とね。

 そして、
予算提示をするなら、
目一杯の予算は提示しない。。。。
悪い意味では深慮遠謀。
良い言葉では配慮。
もう一言付け加えれば『駆け引き』
というものも必要かも知れませんよ。。

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