軟弱地盤とその対策

軟弱地盤とは、ある建物をその地盤の上に載せると、その地盤だけでは建物の重さを支えきれず、建物が沈下するおそれのある地盤を指します。
そのため、同じ規模の住宅でも、重量の軽い木造住宅と、重い鉄筋コンクリートで作られた住宅では、その建物を支えるために必要な地盤の強さも異なり、軟弱地盤の無定義も異なります。

一般的な木造住宅であれば布基礎で建物の重さを支えきれない地盤を軟弱地盤と言います。

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建物の重さ

建物は地盤によって支えられていますが、では建物にはどの程度の重さがあるのでしょうか。

一般には、木造2階建ての建物で、床面積1㎡当たり約300㎏、鉄骨造の建物であれば約600㎏程度の重さが地面に伝わっています。鉄筋コンクリート造などは、床面積1㎡当たり1・5トンもの重さになっています。
たとえば、延べ床面積120m2の木造住宅では、120m2X300kg=36トン程度の重さが地盤に伝わっていると考えられます。

地盤補強

地盤補強には、軟弱地盤の深さに応じて、次の4つの方法があります。

特徴 費用
べた基礎
地盤補強は行わず、基礎全体で建物を支える
表層改良 深さ2M程度まで可能だが、軟弱地盤の土地全てを攪拌する必要があるため、仮置土の関係などで、都市部ではあまり行われない。
新規造成地で、開発業者が最初から造成時に地盤改良を行う場合や部分的な軟弱地盤の改良に使われる場合が多い
数万円から数十万円
柱状改良 深さ8M程度までの軟弱地盤に対応出来る。地盤補強工事ではもっとも多用されている工法 平均的住宅で、約50~100万円程度
杭工事 深さ20M程度まで可能。
住宅の場合は、直径10cm程度の細径鋼管杭で行われる
100万円以上、深さによってさまざま

住宅の地盤補強では、柱状改良工事が行われるのが圧倒的です。これは、専用のくい打ち機を使って行い、数メートル程度であれば可能なことと、敷地のほとんどを掘り起こす表層改良と比べて、狭い敷地でも可能なことが原因です。

右の写真は、鋼管杭の施工状況。
柱状改良杭の場合も似たような重機を使う。

過去に当サイトが行っていたサポートサービスの傾向からは、新築住宅の1/3程度が何らかの地盤補強工事(主として柱状改良杭)を必要としています。

地盤沈下の責任は?

地盤沈下の責任は、どこにあるのでしょうか。

設計を設計事務所に依頼した場合 建物の設計を行った設計事務所が地盤沈下の責任を持ちます。
設計施工で建築会社が設計した場合 その設計を行った建築会社が地盤沈下に対する責任を持ちます。

過去の判例では、地盤調査報告書にも、基礎選定に対するコメントが書かれていますが、地盤調査報告書に書かれたコメントはあくまで参考であって、根元的な責任は設計者にあるとされています。

地盤保証って何?

建物に対する基礎・構造面の10年保証の関係で、民間企業が、軟弱地盤に対して地盤補強工事を行い、その上で、基礎の不同沈下等に対する10年の保証を行う民間の制度です。

ただ、軟弱地盤の地盤補強に対して、10年保証を行う関係上、やや過剰補強を行う傾向があり、べた基礎で大丈夫な部分に地盤補強工事を行ったりして、建築主に対して不要な支出となる場合もあります。

地盤調査のポイント

住宅の地盤調査を行う場合は、建物の四隅と建物の中央の5カ所の地盤調査を行います。
なぜ四隅に行うかというと、地層は必ずしも水平に均一の地層が続いているのではなく、敷地の南側は強い地盤であっても、敷地の北側に向かって軟弱地盤があるなど、地層そのものが変化しているからです。

地盤の変化

下の表は、住宅ではなく一般建築で用いられるボーリング調査による地盤調査表ですが、細い部分では数十cmの厚みで、粘土の層や砂や礫といった、いろいろな土質(地質 )が交互に折り重なっているのがわかります。これから見ても、地盤は表面だけを見ても何もわからず、地盤調査をしないと何もわかりません。
そして、同じ地層は二度と無いというぐらい、地面の下の地層は変化に富んでいます。

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