欠陥住宅裁判に勝つ方法

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まず、裁判や裁判官というものを誤解しないようにしておきましょう。

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裁判とは紙で行う喧嘩である

世の中のほとんどの人は、裁判というものは、公正に行われていると考えられているかも知れませんが、裁判もボクシングと同じです。

まず、裁判とはパンチこそ繰り出さないですが、紙の資料のやりとりで行う喧嘩そのものです。それを頭に入れておかないと裁判に失敗してしまいます。

建築紛争は難しい

医療紛争と同じぐらい建築紛争は難しいと法曹界では言われています。それは医療と同じように、技術的な判断を普通の人(法曹界の人達を含めて)がしにくいブラックボックスであるために起こっています。
技術面の難しいことをわかりやすく伝えるテクニックは、裁判官に事の重大さを分からせるという意味で重要な要素です。

裁判官もいろいろ

もう一つ大事なことは、裁判官も人の子です。進歩的な裁判官もいれば、保守的な裁判官もいます。そして、刑事事件でも時々見られますが、いわゆる世間の感覚とまったくかけ離れた自分の世界観だけに閉じこもった判決をくだす変な裁判官もいるのです。

強力なパンチで相手をノックアウトさせればいいのですが、それが出来なければボクシングで言う判定となります。その判定では裁判官の価値観や考え方で、判決が大きく変わることもあります。

あるいは自分の出世のことしか頭に無くて、より多くの事件を裁いて仕事をこなしているように見せたい、と考えている出世欲の固まりのような裁判官だっているのです。

裁判官というものは、どんな裁判官に当たろうと公平なジャッジをしてもらえるという幻想を抱くことは辞めておきましょう。

つまり、裁判官にも当たりはずれはある、言い換えれば裁判にも運があるのです!!

それでも裁判に勝つ方法。

勝利の3要素

  1. 良いスタッフ
  2. 強い武器
  3. 裁判官を見方に

つまり、裁判もボクシングも同じで、良いセコンドやコーチといった補佐役を探して自分の腕を磨き、相手を一発でしとめるほどの強力な武器を持つと試合展開も有利に運べます。そして最後はジッャジ(判定)をする裁判官の心証をこちら側に持ってくることが裁判に勝つもっとも大事なポイントと言えます。

勝つための準備が必要

つまり、欠陥だから勝つのだ。裁判は公平にジャッジしてくれるのだ、と思っていると間違いで、勝つための準備をしなければ満足のいく勝ち方は出来ないのです。

調査会社はアテにならない

調査会社というものがあります。欠陥かどうかを調査し、数十万円という費用を支払えば調査して報告書を書いてくれます。
でも、クロスがゆがんでいるとか、変色していると言った瑕疵とは言えないような些細な現象まで微にいり際にいり細かなことを指摘してくれますが、裁判にはほとんど役にたちません。
そのほとんどが、どういう瑕疵なのか、、どの程度の重要度の瑕疵なのか、何が原因なのか、直せるならいくらかかるのか、・・といったことには何一つ答えてくれないからです。

調査会社選びのポイント

上の説明のように裁判や交渉の役にたたない調査報告書を多額の費用を請求して作る会社がありますが、建築会社との交渉用資料であれ、裁判を進めるための資料としてであっても、調査会社に依頼しようとするときは次のことを確認すると良いでしょう。

『御社が作成する調査資料を交渉に使い、あるいは交渉に同席をしてもらい、あるいは裁判になっても証言やさらなる資料の提出その他をしてもらえますか』

つまり、単なる報告書の作成だけでなく、今後の全面的な協力が可能かどうかを尋ねて、「いいです」という返事が返ってくれば責任ある報告書を作成して入れる可能性が高いです。

良い建築士を捜せ!!

ボクシングでも裁判でも、自分の持っている武器が何であるかを知らなければ相手に立ち向かうことが出来ません。
そのためには、経験のある、あるいは公正に判断してくれる建築士を探してキチンと欠陥事象とその原因との関係を明確にして、法律違反の工事、瑕疵のある工事、約束違反の工事といった自分が持っている武器(被った被害の大小)を判断にしてもらうことから裁判は始まります。ボクシングで言えば、コーチを雇うことと同じですね。

もちろんこのことは、裁判をするしないに限らず、欠陥工事を直してもらうために建築会社と交渉するときにも当てはまる大事な事柄です。

建築士の選び方

建築士の資格を持っていても得意分野は様々です。

次の要件が満たされればベストでしょう。

  • 1.中立性が保たれ、客観的にものが言える人

被害者に同調しすぎたり、不良工事などをムキになっ
て問いつめようとする人。反対に施工業者寄りの見方
をする人は不適切な建築士です。

  • 2.不法行為、瑕疵担保責任、債務不履行の意味がわかる

下に書いていますが、ある程度の法律的な知識がない
と適切な判断が下せません。何でもかんでも「瑕疵だ」
と言っている人はダメです。(調査会社に多い)

  • 3.説明能力のある人

説明を聞いていてもその説明がよく分かる、といった
説明能力がないと弁護士にも欠陥事象を説明出来ませ
ん。ということは、裁判官にも欠陥の程度を説明でき
ない事になります。

  • 4.断定してくれる人

自信がなくて、「・・だと思われる」的な表現でお茶
を濁す人は裁判には不向きです。弁護士も裁判官も建
築士の判断が頼りなのですから。

注:建築紛争の欠陥を判断してくれるのはするのは、弁護士ではなく建築士だということを見誤ると裁判には勝てません。
(その似た事例が、下の欠陥弁護士という事例です)

より強い武器(カード)を捜せ!!

不法行為>瑕疵担保責任>債務不履行
欠陥住宅裁判のほとんどは、不法行為瑕疵担保責任債務不履行の3つの法律要件だけで争われます。そして、持っている武器(あるいはカード)によって、相手を一発でノックアウト出来るか、判定にまで持ち込まれるかといった違いになって現れます。そういう意味では、トランプのカードにも似ており、強いカードを持った方がより強力に裁判を戦えることになります。

最も強力な武器(あるいはカード)が法律違反の工事をした不法行為というもので、次に床が傾いていると言ったいわゆる瑕疵担保責任が続きます。最後が約束と違うものが作られたという債務不履行です。

不法行為

なぜ不法行為が最強の武器であるかというと、法律に書かれていることをしていないという判断のしやすい根拠があることと、その法律の運用などを具体的に示す公的資料が数多く出版されているからです。(根拠資料=証拠に事欠かない)
そして何よりも法律違反は罪ですね。
いわゆる最強力カードです。

瑕疵担保責任

瑕疵担保責任は、床の傾斜が気になるという問題があっても、瑕疵はここまでだといった明確な基準は少ないですから、どうしても社会常識的な判断を根拠にせざるを得なくなる。その結果、裁判官によって判断にブレが生じやすくなりますし、相手にも反論がしやすいという余地を作ることになります。
やや使い方が難しいカードです。

債務不履行

約束のものと違う、という債務不履行は日本人の場合は、契約にシビアでないですから、言った聞いていないのトラブル、つまり証拠が少なくて約束違反を立証出来ないケースが非常に多いのです。でも債務不履行も約束を記した証拠があれば、強い武器(カード)に変身しますよ。

不法行為と欠陥住宅

私が行っている欠陥住宅調査や裁判では、調査依頼を受けた段階で例外なく、裁判での最強カードとなる不法行為が建物に無いかどうかを捜します。
なぜなら、欠陥住宅を造るほとんどの業者は、建築基準法などの建物を建てるときの法律を熟知せずに建物を造っているケースが非常に多く、捜せばどこかに法令違反の工事をしている場合がほとんどだからです。
簡単に言えば、法律もろくに知らない、知ろうとしない杜撰な業者だからこそ、欠陥住宅を造っているとも言えます。

債務不履行と証拠

日本人は信用が美徳と称して、約束事を記録に残さない傾向が強いですが、債務不履行を追求するには、言った聞いていないのトラブルを無くさない限り相手がそんな約束したことはないとシラを切れば前に進みません。決め事を見積書や図面に反映させておくことは、結果として自分を救うことに他かならないのです。
「相手を信用しているから」「我が社を信用してください」と言う

相手を思んばかっているかのような会話のやりとりは、問題が発生しなければ良いのですが、いざ事あるときは、実は建築主を不利な立場に追いやる行為に他ならないのです。
そして、私の経験則でも、うさんくさい信用に値しない業者ほど、「我が社を信用してください」という言葉を多用しているのです。そういう言葉でしか相手を信用させれない底の浅い業者なのでしょう。

ターゲットは裁判官!!

裁判はボクシングと同じで、相手とのジャブの応酬です。
しかも自分の家を欠陥住宅に陥れた憎っくき相手です。でも裁判は感情で戦うものではありません。武器で戦うものですね。そして、どんな場合でもジャッジは裁判官しか行いません。
つまり、裁判とは、裁判官が自分の言っている主張に耳を傾けて理解してくれさえすれば勝ち目はあるのです。相手がどんなに意地の悪い答弁をし、あるいは知らないとしらばっくれても、相手がターゲットなのではなく、如何に裁判官に自分の主張、言いたいことを分からせるかが欠陥住宅裁判のもっとも大事なポイントなのです。
つまり、業者との直接交渉をしているときは業者が相手ですが、裁判になれば、相手の反論といえども返事は裁判官に対してしていると考えた方がわかりやすいです。裁判官を説得せよ!!

わかりやすい資料を作れ!!

そのために必要なのがわかりやすい資料の提出です。
世の中にプレゼンテーションという手法がありますが、裁判も全く同じです。自分の訴えたいことを如何にわかりやすく裁判官に伝えるか。この技術の差で裁判官の心証度合いは大きく変わっていきます。つまり、判決や和解案を示すときでもどちらの側の主張を是非とするかが大きく変わってくるのです。
たとえば、ある欠陥(瑕疵)に対して、
「この欠陥は、○○の基準に反する」という表現と、
「この欠陥は建築基準法第○条に違反し、建築基準法が定めた基準の0.5程度の強度しか持っていない」というのとでは、欠陥(瑕疵)の重要度、インパクトが大きく違ってきますね。
単に違反だ。あるいは瑕疵なのだ。と言う判断を下すと同時に、どの程度の重要性のある瑕疵なのかを裁判に参加する弁護士や裁判官にわかりやすく分かるような資料を作ることも、裁判に勝つ大事な要素なのです。

★事例いろいろ

欠陥弁護士!!

家の片側から片側の傾斜が数センチという大きく大きく傾いてしまった住宅に住み、建物を売った売り主を相手に代金の全額返還訴訟の裁判を起こしていた方がいます。その方は2年間も裁判で争っていたのにほとんどなんの進展もなかったため、私に相談を持ちかれられました。
そして、今までの裁判記録を見て私は唖然!!
延々と2年間もの間、実際はべた基礎で施行されているのに布基礎としての補修案をベースに裁判を続けていたのです。そして、そのことに裁判官も含め、誰も指摘しない無知識。
その弁護士は「欠陥○○ネット」的なグループの一因と称している弁護士ですが、今までの欠陥住宅裁判に慣れっこになっているのか、自分も建築に関する知識は今までの経験で十分と錯覚したのか、ほとんど建築士に相談もせずに一人で裁判を進めていたのです。

結局自分の能力を過信しすぎた欠陥弁護士のせいでムダな時間を浪費してしまったのです。
裁判官にも当たりはずれがあるように、弁護士にだって欠陥弁護士はいるのです。

調停は期待するな!!(まぁまぁお互いさま~式)

裁判よりも簡易な方法に調停があります。
でも私が知る限り調停が成立した事例はあまり知りません。日本の調停制度は、しっかりと双方の言い分を聞き、しっかりと公正なジャッジをするのではなく、お互いに言いたいことを言わせてガス抜きを行い、双方の言い分の間を取って和解案を示すか、あるいは声高に主張をする方になびいた和解案を示すかのどちらかですから、とても調停委員が主体的にジャッジしていると言えるような制度ではありません。
そのため、こちらに強い武器がある、あるいは白黒をはっきりさせたいといった場合は、全く期待の出来ない、時間の無駄に終わる場合が多いです。
また、たとえ調停でも建築技術的な欠陥事象を争う場合は、あなたの側にも建築士を置き、補佐してもらわないと調停すら有利に進めることは難しいですよ。だって相手は建築会社です。技術的にあること無いことを調停委員に示しても、調停委員すらそんな技術的な問題など判断できないのですから。。。それが建築紛争の難しさ。弁護士だけで対応できない難しさでもあるのです。

裁判官は公的資料が大好き!!

 およそ裁判官ほど「お墨付き」の欲しがる人種はいないでしょう。上の欄で「不法行為」がもっとも強力な武器であり、根拠となる公的資料も多いと書きましたが、裁判では、このような公の機関が出している資料は裁判の強力な武器になります。
そして、損害額を算定する場合でも、街の業者の見積書なんか全く信用性はありません。写真のような(財)経済調査会というところが算定している工事単価をベースに是正工事の費用をはじき出せば、裁判官に高い、安いと指摘されることもなく、すんなり通ります。
欠陥の根拠であれ、工事費用であれ、公的資料をとにかく多用せよ。それが裁判官がどちらの言い分が正しいのかと判断するときの決め手の一つになるのです。
私はこれは欠陥だと思います~。なんて個人的主観なんて裁判では通用しないのです。


自分が正しいと思っていても、正しく伝えなければ勝てるとは限らない。
なぜなら、
弁護士や裁判官は技術的欠陥の判断や重軽は分からないからです。
欠陥住宅裁判、あるいは業者との交渉で、技術的欠陥を指摘出来るのは建築士だけです

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