不動産業者のチェックポイント

土地や住宅などの売買や賃貸の仲介という仕事をするためには、国又は都道府県に届け出を行って「宅地建物取引業」免許を取得しなければなりません。これら免許の取得した業者を世間では、「不動産業者」とか「仲介屋」とか、「宅建業者」あるいは「建売業者」といったかたちで呼んでいます。

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業界の特徴-小さな会社が圧倒的に多い

下の表と図は、近年の代表的な産業の従業員の規模を表にしたものです(2016年、統計局資料より)。

これを見ると、従業員5人未満の零細企業は、全産業としてはの57%程度、建設業や卸、小売、サービス業も概ね60%程度なのですが、不動産業界だけは82%と、他の業界に比べて突出して高くなっています。比較的個人経営者が多そうに感じる小売業や飲食業に比べてもその比率の大きさが分かると思います。従業員数10人未満の会社も突出して多く93%にのぼります。

このことは、不動産業界は他の業界と比べて非常に企業規模が小さいと言うことになります。
社長一人事務員一人でも商売は成り立ちますし、2.3人で店を構えている不動産業者も多いです。

免許の種類

宅建免許は、都道府県をまたいで事業をしている会社は国の許可を、一つの都道府県だけで商売をしている会社は、その都道府県で免許を受けることになります。ただ、国の免許を持っているから信頼出来るといったものではなく、免許の違いでの信頼性とは関係ありません。

  • 都道府県をまたいで商売する…国の免許
  • 一つの都道府県だけで商売をする…都道府県の免許

免許更新と回数

免許証の番号には、○○県知事第・・(3)・・・号といった形で(3)のカッコ部分の数字が免許の更新回数を表しており、免許の更新をするたびに番号は増えていきます。更新期間は、’96年以降は5年ごとに、それまでは3年ごとに更新が必要です。

古ければそれだけ歴史があるのだから信用出来る、といった事を書いている本などもありますが、それほど大きな相関関係は無いと思いますよ。

業者名簿の閲覧

業者の中身をもっと知りたい場合は、都道府県免許の場合は、都道府県の宅建業担当課に、国の免許の場合は、地方整備局建政部の関係課に業者名簿が置かれており、随時閲覧することが出来ます。(コピーサービスはしてくれません。メモを取る必要があります)
そこには、

  • 過去の営業実績、事業の沿革、代表者、役員、取引主任者
  • 資産の状況(個人の場合は代表者の資産、法人の場合は財務諸表)
  • 株主、出資者、書くの行政処分歴

等が書かれています。
ある業者の具体的な状況を知りたい場合は役所を訪ねてみましょう。

業界団体の加盟の有無

業界団体に加盟している不動産業者は、広告を打つ場合でも「不動産の表示に関する公正取引規約」の自主規制を受けるなど信用度を測る一つの指標になります
もっとも代表的で身近な業界団体としては下の2団体が有名で、このいずれかの団体に入っている場合がほとんどですし、逆にこれらの業界団体にも入っていない業者は危険な業者と考えた方が良いでしょう。

業界団体による無料相談

下の2つの業界団体では、地域によって異なりますが、平日あるいは月に1.2回の特定日といった形で、一般消費者向けの相談コーナーを開設し、専門の相談員が応対しています。業界団体が設けている相談室ですが、回答自身は公正な立場で回答していますから、具体的な商談中になにか気になることがあれば、こういった窓口で相談されるのも一つの方法です。
注:それぞれの会社の風評などは決して答えてくれませんよ。信用調査のためではなく、あくまでも対応や取引の疑問などへの相談です。

(社)全日本不動産協会 各都道府県の協会事に月1.2回の相談日有り
(社)全国宅地建物取引業協会 各都道府県でことなりますが、平日、あるいは週に数日の相談日を設けている。

風評調査(聞き取り調査)

なかなかやりにくい事ですが、その不動産業者、特に建物を売るといった業者の信頼度を最も確実に知る方法は、やはり実際に売られた建物の入居者に聞くのが一番でしょうね。いわゆる聞き取り調査ですね。労力と少しの気恥ずかしさはありますが、業者の客観的な信用度を測る最も確実な方法です。

ネットの風評(話半分です)

最近ではインターネットなどでいろいろな情報交換をしていますが、この記事の中のおおむね半分はいたずら目的で書き込みをされています。簡単にチェック出来る調査方法の一つですが、どの書き込みが本当の(真実の)書き込みで、どの書き込みが無責任やいたずら目的かを見分ける一定の業界知識がないと判断を誤ってしまうことがよくあります。

なぜなら、誰でも書き込みできる反面、競争相手が相手会社のあること無いことを言いふらすことの出来る格好の場所だからです。そして、ネットには自分の書いた書き込みに踊らされてまごまごしているレスを読んで喜ぶ愉快犯が一杯巣くっているからです。

とまぁ、書いてみたところで、書類や書面調査、ネット情報で分かることは知れています。むしろ、ほとんど何も分からないと考えておいた方が良いでしょうし、それを分析できる一定の下地(業界知識)も必要です。

むしろ、次のような営業マンであれば安心。そうでないなら、気を付けるという心構えの方が良いように思いますよ。

安心できる営業マン

  • 案内や説明が丁寧
  • 無理押しはしない
  • YES、NOがはっきりしている。
  • 疑問に明快に返事する。

そして、なにかオカシイと感じたらとどまる勇気も必要です。
 間社会には、オオカミの姿そのままのオオカミはいません。羊の仮面を被ったオオカミがいるのですから。

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ちょこっとCOLUMN

格差の大きな業界

他の産業界よりもはるかに零細企業が多いと言うことは、それだけ社長の個性がそのままにじみ出てしまうような個性溢れる会社になりがちです。それは良い面と悪い面があります。良心的で丁重な建物を売っている会社あるいは仲介業者もあれば、いい加減で無責任な建物を建てている業者や仲介業者もいるという風に、言い換えればサービスの質に格差が生じ、会社の中身の違いから格差も大きくなってしまう傾向にあります。

同業者から「頼むから売ってくれ~」なんて頼まれれば、ヘタ地(どうしようもない価値のない土地)をどう相手にごまかして売りさばくか・・なんてことに頭を使ったり、売った後は知らないとほっかむりを決め込む業者もいるかも知れません。不動産業業界って、そんな千差万別のクセのある人達もひそんでいる業界だと思っていた方が良いでしょうね。

処分歴の有無

業者名簿を閲覧すると、処分歴が書かれていることがあります。危ない業者なのかと言うとそうとも言えなくて、地上げ屋と一部の人達が称されていた時代もあったように、やや法律ギリギリの商売をしている風潮がなきにしもあらずの業界です。「悪徳不動産業者」なんてネーミングが昔からあるように、また、そのようなタイトルでおもしろおかしく書いた本が売られているように、「処分」は彼らにとってはまぁ「運が悪かった」「オレをチクルとはふてえ客だ」という程度にしか考えていないのがこの業界の一部の連中です。

行政処分と言っても、せいぜい業務停止数日といったもので蚊に刺されたような処分ですから、彼らにとっては痛くも痒くもありません。なぜなら、業務停止の間に商談を進めても、契約さえ業務停止の期間をずらしておけばいいのですから・・・。
注:違法な広告、違法な契約自体は今でも後を絶ちません。消費者は違法と知らずに契約しているから発覚しないだけです。

お互い様

・・とここまで不動産業界の悪口を書いてきましたが、それはお互い様。
 特に「賃貸」の仲介となると、家賃を滞納する金にルーズな人、ものを汚す、ゴミをためる、大きな音を出すといつた社会的モラルを全く守らない「悪質入居人」 がいると思えば、ニンニク臭をまき散らす「社会常識のない訪問客」を相手に接客しつつ、変な人を斡旋すれば家主の側から大クレームです。

良い客もいれば、タチの悪い客も一様にいるのが人間社会。
そういうトラブルも受け持ちつつ、もっとも人間らしさ、人間のドロドロさが見えてしまうのもこの商売かも知れませんよ。

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