さて、前ページでは、「見積書は誰も分からない」。その中身を知っているのは見積もりを依頼した建築主だけだ。と言う話をしましたが、実際にいろいろな会社から見積もりをとると、概ね次のような見積書が出て来る場合が多いのです。
(注:金額は、例示として書いているだけです)
たとえば4社に見積もりをとると、ピンクがその中でも高い値段を出した会社。黄色がその中で安い値段を出した会社とします。
こうすると、一番安い工事価格を提示したB社は基礎工事は安いですが、他の工事費は平均的なものです。
D社は、いろいろな工事で安いのですが、トータルでは二番目です。
一番値引率の高いC社では、値引率が高くても、各工事費が高いので安くはなっていません。
民間の建物を設計事務所が設計し監理する場合は、このように数社の建築会社にな競争入札的な見積もりをとる場合が多いですが、多くは、このような、実に絶妙のバランスで見積書が届きます。
このようなことは、こういう入札を多く経験しないと分からないことなのですが、結局、単価や各工事費の安さを見比べても、実は全く意味が無く、各社各様に他者より安い工事部門、安くならない工事部門などを均等に持っているのです。
かといって、各社が相手の見積書の強い部門、弱い部門を知っているわけではないのですが、まるでトランプのポーカーのように、依頼者たる建築主の感触をつかみ、競合相手の雰囲気を感じ取り、『このぐらいなら、机の上に残るかな・・・』という値決めをしながら見積書を書いているのですよ。
言い換えれば、あなたという相手に対して、その顔色を見ながら、あるいは、まわりにいる競争相手の顔色を見ながら、さて、次はどの手のカードを切ろうかな・・と考えているポーカーゲームと同じようなものなのです。
そして、フルハウスで勝てるかな、ダメかな・・と考えているのが、最後の値引きの率を考えている部分なのかも知れませんよ。
価格で勝負といいつつ、誰もが適正価格を持ち得ない、知り得ない建築工事では、実は心理戦が半分を占めているのかもしれませんね。
この続き「値引きのツボ」で見てみましょう。
机の上に残ってよ!?