マンションでもっとも苦情が多いものの一つが、上下階の音です。
コンクリート自身は、50dbも遮音する大変大きな遮音材ですが、この音は、コンクリートを伝わってくる固体音であるため、特別な配慮が必要になっています。
大きな空気音を遮断する高性能な遮音材であるが故に、固体振動の微妙な音が気になってくるのです。
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マンション特有の遮音等級
マンションでは、床の遮音性能を比較するときに、重量襲撃音(LL)と軽量衝撃音(LH)の2種類の物差しがあります。
今までの遮音性能はdb(デシベル)で表し、数値が大きいほど遮音性能は優れていますが、マンションの床の遮音性能は、数値の小さいほど高性能になっています。
重量衝撃音と軽量衝撃音
音の種類 | 音源 | 建物の対策 |
重量衝撃音 | 足音、飛び跳ねる音 | 堅い、重い材料を使う。 振動を制御する材料を使う。 |
軽量衝撃音 | 物を落とした音 イスの移動音 | カーペット等の床材を敷く。 |
遮音等級の目安 (日本建築学会の遮音性能基準97.7)
遮音等級 | L-60 | L-55 | L-50 | L-45 | L-40 |
人の飛び跳ね 歩行音 | よく聞こえる。 | 聞こえる。 | 小さく聞こえる。 | 聞こえるが意識することはない。 | かすかに聞こえるが、遠くから聞こえる感じ。 |
物の落下音、イスの移動音 | かなり聞こえる。 | 気になる。 | 聞こえる。 | 小さく聞こえる。 | ほとんど聞こえない。 |
生活実感 | スリッパ歩行音が良く聞こえる。 | イスを引きずる音がうるさく感じる。 | イスを引きずる音は聞こえる。 | スプーンを落とすとかなり聞こえる。 | 気配は感じるが気にならない。 |
マンションの遮音工事はどこまで
床の遮音工事はあくまで任意の工事です。2.000年から、住宅性能の基準が出来ましたが、それでもなにを採用するかは任意です。建築基準法や公庫融資に必要な条件ではありません。
工法のいろいろ
直貼り遮音フローリング | スタイロフォームを下地とした遮音フローリング | 遮音用の脚を下地とした遮音フローリング |
必要厚み15~20mm 注)単なる直貼フローリングは遮音性能はありません。 | 必要厚み40~60mm | 必要厚み80~200mm |
注)どちらが高性能と言うものではありません。それぞれにいろいろな遮音性能の製品があります。
マンションの選び方
マンションは、立地によって遮音性能の要求度合いが大きく異なります。
郊外の静かなマンション | 夜になるとカエルの音が聞こえてくるほどの静かな場所では、上下階の床からの音は非常に気になります。 静かな分だけ、音は相対的に大きく、敏感に聞こえます。 十分な床の遮音性能があるか、そして、ある程度の音なら吸収できるカーペット敷きやピース敷きカーペットの採用も重要なポイントです。 |
幹線道路などの騒音の多い地域のマンション | 相対的に、周囲の音が大きい地域では、床防音もさることながら、窓からの遮音も快適に過ごす重要なポイントです。 コンクリートの壁は、それだけで50dbという、十分な遮音性能を持っていますが、一般のサッシは、15db程度の性能しかありません。 窓をいくら締め切っても、窓からどんどん音が入ってくるのは間違いありません。 カーテンという二次的な防音とは別に、防音サッシが入っているかどうかも、マンションの選択ポイントの一つです。 |