欠陥工事のデパート..2(底版の無い基礎)

NO IMAGE

さてこの方の建物。どんな欠陥だったのでしょうか。
そのまえに、この方は自営業をされており、建物は建物の骨組みと屋根、外壁までを住宅会社に依頼して、内装や電気工事はご自身でされる予定だったそうです。そして、前ページの写真では何もない基礎に見えていますが、1階は車庫と物入れ、2階が住居というふうに計画されていました。
また、前回同様に、実際にはいろいろあるのですが、致命的な問題だけをここではご紹介します。
それは、右の図にあるような基礎の問題です。
この地域は寒冷地であるために、基礎の深さを地表から60cm以上深くするように決められた地域です。これを根入れ深さと言います。そのため布基礎になるのですが、正しい方法は図の上の方法ですし、図面もその様になっていました。(根入れ深さ60cmという条件だけで建築場所が特定出来る人はすごい~)

Sponsored Link

底版もなく浅い基礎

ところが、事前に基礎の写真を見ていた私は、まず基礎の周囲を掘ってみました。ちになみにこの作業はスコップを持って私と施主さんとの共同作業です。そうしたら案の定、底版も無く、基礎の深さも45~50cmと極めて浅いいわゆる「ろうそく基礎」というものが作られていたのです。

プロファイリング

犯罪の捜査手法に「プロファイリング」というものがあり、犯罪者は一つの犯罪傾向がある。欠陥住宅も同様でその「プロファイリング」の手法を利用すればよいと書いたことがありますが、簡単に言えば、前ページでご紹介したような杜撰な仕事をする基礎業者が、見えなくなる土の中で真っ当な仕事などしていないだろう・・という推理は的中しました。

1000kmさきの住宅会社

実は建築主が依頼した建築会社は、飛行機で1時間半(正味フライト)。直線距離1000kmの遠隔地の業者だったのです。 その会社を選んだ理由は、「ガレージ住宅」に特化しているという宣伝文句で、全国どこでも工事します・・ということだったようです。ところが支店も社員もいません。。。

業者選びは・・・。

さて・・・・。現場が1000kmも離れたこの住宅会社。現地での業者選びはどうしたのでしょうか・・。たぶんですが・・。
こういう場合は、建築業は実は簡単なんです。
普通、大工さん以外の基礎屋、電気屋、水道屋、足場屋、サイディング屋といった職種の人達は、いろんな住宅会社の仕事をしていますし、お互いに現場で顔見知りです。たとえば「左官屋」がヒットするとその「左官屋」の紹介で「基礎屋」「大工」「電気屋」等々と紹介の紹介で、案外と簡単に業者を探すことが出来るのです。いわばお互いが現場同士でつながっているネットワークですね。
たぶん、そうやって業者を捜していったのでしょう。

ほったらかし

最初にご説明したように、内装も設備工事もないいわば本体だけですから、受注金額もたかがしれていますし、この住宅会社もどちらかというと「安さ」を強調している業者です。
ところが1000kmも離れています。飛行機代だけで65、000円もかかるんですから、当然丸投げです。しかも徹底的に値切って元請けが現場に来ないのですから、仕事の出来映えは、後は下請の良心次第となってしまいますね。

底版のない基礎・・と言うだけで大問題なのですが、さらに曲がりくねった基礎。
すさまじい業者もいるものです。
良心のかけらもありません。
元請けも元請けなら、下請も下請。
この元請け、裁判(調停)の場でも延々と自説を展開して煙に巻いていたようです。

どうしてこんなに業者に引っかかるのか?

魔が差すんですねぇ。
「遠隔地だけど大丈夫ですか」
「いや~ぁ。今は写真も動画もネットで配信出来る時代です。」 と答えられれば、IT関係の仕事をしていた建築主からすると、
「そりゃぁ。そうだなぁ。現場が遠くても、ネットを使えば・・」と納得してしまいます。
この話人ごとではありませんよ。


オレは騙されない。
知識も豊富だ。騙されるはずがない。
という人ほど、
たとえば、「「いや~ぁ。今は写真も動画もネットで配信出来る時代です。」
という知識を相手に悪用されてしまうのです。

Sponsored Link

Sponsored Link