簡単に説明すると下のようになります。

土地だけの販売
仕入れは土地代だけで済み、いざとなれば同業者転売。その代わり利益は少ない。
|
 |
儲けは少ない
たしかに、ものの売買というのは少量な売買ほど単価が高く、大量の売買ほどその単価が安くなるのは世の常で、土地も同じです。40坪の土地の値段よりも、400坪のひとくくりの土地の値段の方が安くなります。
しかし、土地には反対に相場というものがありますから、いくら安い400坪の土地を10区画に分割しても、その手間や場合によっては造成費、あるいは分割登記費用もかかり、かといって周辺相場にも価格をあわせる必要がありますから、そうそう濡れ手に粟となるほどの利益が出るものではありません。
でも、リスクは少ない
しかし、リスクが少なくて済むのがこの販売方法で、土地を仕入れて、分割して販売を開始したが、思うように売れない。そんなときでも更地の土地は、いわゆる同業者に転売するという方法が残されています。
(注:この例に限らず、同業者間の土地取引は非常に活発にされています)
|
分譲住宅
仕入れは、土地代と建物代がかかり利益は大きいが、
売れ残ればダンピング以外に売る方法はない。 |
 |
儲けは多い
土地と建物の両方に利益を乗せることができますから、土地だけの販売よりも、より多くの利益を乗せることができます。
でも、リスクが高い
よく折り込みチラシで、「新築住宅」でも売れ残ってプライスダウンをした広告を目にすることがありますが、売れ残ると大変です。仕入れにかかった費用が土地だけなら、上のように土地だけを転売することはできますが、建物があれば同業者でも買ってくれません。売れなければダンピングしかありませんが、建物の工事費も支払っています。
つまり、分譲住宅は、売れなければダンピングしか無く、利益は失われます。
そういう点では、3つの販売方法の中で、もっともリスクの高い販売方法です。
|
建築条件付き
仕入れは土地代だけ。後は売れた順に建てればよく、リスクは少なく、利益は大きい。
|
 |
儲けは多い
これは、上の分譲住宅と同じですから、土地と建物の両方に利益を乗せることができ、土地だけの販売よりも、より多くの利益を乗せることができます。
しかも、リスクは少ない
最初に仕入れるのは土地代だけです。建物の工事費は土地の売買が決まった後なのですから、土地だけの販売と似たようなリスクの小ささです。
|
このように経済合理性の面から考えると、もっともリスクが少なく、もっとも利益が多い販売方法が、『建築条件付き』の販売だ、ということになりますね。これが市場で『建築条件付き』の販売が多い理由と考えられます。
・建築条件付きのデメリット
でも消費者から見ると、最初に述べたような「フリーチョイス」という良いことばかりではありません。
なにより、こういった元手が少なくてできる方法だからこそ、年に数件しか売れない(扱える資金力のない)零細な売り主(不動産会社)から、年間数百等も販売しているパワービルダーと言われる売り主まで、実に多様な業者が市場でしのぎを削っている良い面と、反対に、業者の質のばらつきから、工事の粗悪さ、建物の品質のばらつき、間取りすら提案してくれないといった販売トラブルが発生する原因の一つでもあるのです。
|
|
次ページは、そういった業者の本当の本当の本音の話です。
それを知ると、自分たちの交渉ポジション(立ち位置)がよくわかりますよ。
|