「コンクリートの固まり方と強度単位」のページで、コンクリートの強度は外気温に左右されると書きました。外気温が低ければ、硬化の進行も弱く、外気温が高ければ硬化の進行は早くなります。
そのため、コンクリートは外気温に応じて打設強度を変え、28日目の強度が設計強度になるように調整します。いわば設計強度に上げ底をすると考えれば良いでしょう。これを以前は「温度補正」といい、今では「強度補正」と言っています。
昔は温度補正で冬季対策中心(温度補正)
2015年以前は、寒い冬の対策が中心で、下図の(温度補正)の表にあるように、外気温が3℃以上8℃未満の冬季には、設計強度に+6N/mm2を加えたものが、そのときに打設するコンクリート強度としていました。これを「温度補正」といい、たとえば、設計強度を21N/mm2としている場合は、打設強度は(21+6)で27N/mm2のコンクリートを打つのです。
そして、外気温が16℃以上になると、特に補正(かさ上げ)は必要ありませんでした。
今、猛暑の対策が必要
しかし、最近の猛暑は、コンクリートの硬化がむしろ止まってしまうということが判ってきたのです。
そのため、2015年以降、下の(強度補正)の表のように、冬季も、夏期も、どちらも補正が必要だと言う風に考え方が変わりました。
夏もかさ上げが必要(強度補正)
外気温は、地域ごとに異なります。そのため、その地域の外気温はその地域の生コン会社が調べており、それを元にすると、東京では6月30から9月15日まで、大阪では7月4日から9月14日までを暑中期間とし、設計強度に+6N/mm2の強度補正をする必要があるという風に指針が変わりました。
もちろん、外気温が8℃未満になる冬季期間も以前と同様の補正が必要です。
しなくても違法ではない!
建築主の方で非常に勉強している方は、このような指針が出ているのだから、この補正をしなければ「違法だ」と考えがちですが、この指針はあくまでも指針であり、法律ではありません。
法律は「28日経過して硬化したコンクリートの強度が所定強度以上であればいい」という考え方なので、補正をしないから違法というものではありません。どのような方法であれ、28日目の強度が必要強度に達していれば良いのです。早合点して「問題施工だ」と言わないようにね!
ただし、このような指針をキチンと把握している業者は優良な業者ですね。一つの業者の技術力を測る尺度にも使えます。