雨とコンクリート

コンクリートの打設中に雨が降る。あるいは打設後に雨が降る。いずれもコンクリートの強度を低下させる原因です。その理由は、コンクリートは水セメント比という水とセメントの比率に応じて強度が変化していき、水分が多いほどコンクリートの強度は低下するからです。

では、どの程度の雨が降ればコンクリートに影響を及ぼすのでしょうか。

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降雨量とは

この問題を解くためにはまず、降雨量というものを正しく知る必要があります。降雨量は、「1時間で100ミリの降水量は降った雨がそのままたまった場合、1時間で雨が水深10cmとなる」ということですね。

雨の強さと降雨量の目安

それを体感的な目安に置き換えたのが下の表です。

5㎜/Hの雨でも「本降り」で出歩くのがためらわれる雨だそうです。
20~30㎜/Hになると土砂降りの雨で、傘を差していても濡れ、地面一面に水が覆われる状態です。

水セメント比

雨とコンクリートを考える時には、もう一つ水セメント比というものを知っておく必要があります。

水セメント比とは、そのコンクリート1m3当たりに使われる水とセメントの重量比で、下図のように、水セメント比が低いとコンクリートの強度も低く、高いと強度も高くなるという相関性があります。

一般的な傾向としては、概ね水セメント比が65~60%前後の時のコンクリートの強度は21N/mm2前後で、水セメント比が50%前後の時のコンクリートの強度は概ね30N/mm2程度になっています。

5mm/Hの本降りの雨が、コンクリート打設時に1時間降った時コンクリートの強度は低下する可能性が高い!

では、5mm/Hの本降りの雨が、コンクリート打設終了間際に1時間降ったと仮定しましょう。そのときの降雨量は5mm/m2です。

これは、水の重さで5kg/m2に相当し、仮に水セメント比が50%、強度30N/mm2のコンクリートに降ったと仮定すると、図の説明書きのように、水セメント比が59%、つまり、60%近くに低下することになります。

言い換えると、水セメント比が下がるので、コンクリートの強度も下がると言うことになりますね。

注1:降った雨は、実際には打設したコンクリート全てに浸透しているとは限らず(雨はコンクリートの中で一番比重が軽いので下に下がりにくい)、表面付近のコンクリートにより浸透し、表面のコンクリートの強度が弱くなっている可能性が考えられます。

注2:打設するコンクリートの水セメント比(コンクリートの強度に比例)が低い状態で打設すれば、より強度は低下し、場合によっては設計強度に達しない可能性も無いとは言えません。
例:水セメント比60%、強度21N/mm2のコンクリートに、5mm/Hの雨が1時間降り続けば、上の例からは、水セメント比は70%近くに低下するため、強度も21N/mm2を下回ることになると考えられます。

つまり、1mm、2mm程度の雨なら、あまり大きな影響はありませんが、本降りに近い状態の雨はコンクリートの強度に及ぼす影響が大きくなります。

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