改良か、改悪か?次世代住宅ポイント制度

消費増税の緩和策として、「次世代住宅ポイント制度がスタートしました。
何かすればポイントが還元される制度は、これで3度目ですが、少し改良されて使いやすくなった部分もある反面、改悪だよ!と思うところもあります。

 

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次世代住宅ポイント制度の概要

 右の標準ポイントの欄で書かれている、
「エコ住宅」「長持ち住宅」「耐震住宅」または「バリアフリー住宅」のいずれかの性能を建物に付加すれば標準ポイントとして30万ポイントが取得できます。そして、上の4つよりもさらに高性能な「長期優良住宅」または「低炭素住宅」「性能向上計画認定住宅」「ZEH住宅」であれば、さらに優良ポイントとして5万ポイントが加算され、あるいは家事の負担を軽減する設備を導入すれば、それぞれのオプションポイントが加味されます。ただし、合計は35万ポイントで打ちきりです。

良くなった点-建物性能を広範囲に選べる

良くなった点は、以前の2回の制度は、いずれも「エコ住宅」だけが対象でしたが、今回は上でも説明したとおり、「エコ住宅」「長持ち住宅」「耐震住宅」「バリアフリー住宅」など範囲が広がっています
そういう部分は非常に使いやすくなっています。

悪くなった点-ポイント還元商品は定価価格=実勢価格と大きな乖離

以前はポイントを工事費の支払いに振り替えることが出来ていました。たとえば、35万ポイントは35万円と、そこは同じながら、工事費の支払いに買えることが出来たので、案外使い勝手が良かったのです。

しかし、今回はポイントを指定された商品の中から選ぶ必要があります
しかし、まだ、制度がスタートしたばかりなのか、ろくな商品があります。
さらに、どうも全てが定価表示なので、たとえば48形TVが8万ポイントとなっているものの、ネットで調べるとその半額程度で手に入る商品だったのです。

 左のテレビは、ポイントとしては8万ポイント、つまり、8万円相当の商品となっていますが、Amazonで価格を調べると32,000円ほどの商品でした。
右のプリンターもAmazonで34,000円程度で売られていました。(2019.0621現在)

つまり、最大35万ポイントもらったとしても、実質価格はその半分の18万円程度の価値でしかないのです

これは明らかな改悪・・・というよりも商品を提供する業者がボロもうけする仕組みですね!!
さらに言えば、この原稿を書いている時点(2019.6)では、使えそうな商品が本当にありません。

注意点-手続き費用とメリットが相殺される

そのため、上のような「エコ住宅」「長持ち住宅」「耐震住宅」「バリアフリー住宅」といった部分で高性能な住宅にしたいという明確な目的があれば良いのですが、単にポイントを取得するために制度を利用しようと考えたとき、制度を利用するには図面を作成して、かつ、申請が必要です。
そのための手続き費用が20万円かかるのなら、実質的に使えるポイントと手続き費用がイコールとなってしまい、メリットは相殺されてしまうのです。特に「省エネ住宅」「耐震住宅」などは専用の計算が必要なので、手続き費用もそれなりに必要です。
とは言っても、高性能な住宅性能になるというメリットはありますから、手続き費用を制度で出してもらった、と割り切った見方をした方がわかりやすいような気がします。

また、とにかく使えような商品が現時点ではありませんから、その当たりもよく下調べしておく必要があると思います。

いずれにしても、本当に役人が作った「形式だけの暖かみのない制度」と感じました。
商品が定価表示で、実勢価格と大きな乖離がある事を考えると、この制度で利権でも企んでいるのか、と深読みしてしまいそうな制度設計です。

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