遮熱材への疑問と実験

最近、遮熱シートが注目され、いろいろな場面で使われています。
一つは、自動車の「サンシェード」。冷蔵物の簡易保管に使う「保冷バック」。窓ガラスに張る「遮熱・断熱フィルム」などもホームセンターで売られています。こたつやカーペットの下に敷き込む「断熱マット」。キャンプ用マットもアルミ箔が張ってあります。

建築材料としては、屋根や外壁の下地に張る「遮熱シート」や「遮熱透湿放水シート」が代表的ですし、近年では屋根材や外壁に直接塗る「遮熱塗装」というものも販売されています。
「遮熱シート」はいずれも銀色(アルミ色)をしているのが特徴です。

でも、『遮熱~』って、いまいちピンとこないところがあります。

たとえば、「遮熱、透湿防水シート」のメーカーである「デュポン社のタイベック・シルバー」の商品案内を見ても、遮熱材は「赤外線の約85%を反射」と書かれていたり、実際の住宅を使った実験でも「躯体等への蓄熱を軽減しているため、日没後の輻射による熱の影響を抑え、快適性を向上させています」とは書かれているものの、「物理特性」をみると、断熱や遮熱に関する数値は何も書かれていません。
注:写真は屋根面に遮熱材を張った屋根裏とそうでない屋根裏の温度のサーモグラフィ比較(写真左が遮熱材無し、写真右が遮熱材有り、、デュポン社ホームページより)

そういった「していると効果があるのはわかるが、どの程度効果があるのか良くわからない」という曖昧さが原因なのだろうと思っています。あるいは断熱材のように、断熱に関する数値がはっきり示されていないのも一つの要因でしょう。

そうはいっても、こればかりは体験しないとわからない。
だったら実験しよう・・とやっと見ました。

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実験スタート(2008.7.1)

遮熱材は、一定の効果があるのはわかるが、直射日光が当たっている炎天下はどうなの?
室内の陽の当たらない場所では保温効果はあるの?

そんな疑問に対して、せっかくの暑い暑い夏なので、分からないことは自分で実験してしまえと、急遽小学生レベルですがアルミホイールを遮熱材に模した実験を試みてみました。

さて、どんなに結果になったのでしょうか。。

答えは意外なものでした。

炎天下の実験(炎天下で、氷はどれだけ溶けるか?)

・ 紙コップに氷を作る。66ccの水(1/3カップ)
・4つの種類の保冷容器を作る

①調理用アルミホイールを3重巻きにした保冷容器。
②厚み50mmのグラスウール断熱材を巻いた保冷容器。
(圧縮されるので、実質はグラスウール30㎜程度の能力に低下している)
③市販の発泡スチロールの保冷容器(厚み14㎜)
④保冷パックにアルミホイール3重巻きをした容器

正午の炎天下に置く。 そして、容器の中の氷の溶け具合を調べる

実験結果

1回目、2回目ともに炎天下にさらして40分後の結果です。

保温の実験(お湯は、どれが一番早く冷めるか)

・紙コップに沸騰させた熱湯を入れる。
・上と同じ4種類の容器に入れる
コップの油温がどのぐらい下がったのかを調べます

実験結果

1回目、2回目ともに炎天下にさらして60分後の結果です。

アルミホイールにも保冷パックに匹敵する保温効果があった

ペットボルトの保温カバーや買い物などに使われている携帯用の保温パックには、アルミ箔が巻かれているような製品を見かけますね。
どちらも、1回目の実験の結果では、アルミホイールを3重巻きにした容器も、他の断熱、保温材料同様の一定の保冷、保温性が認められました。
炎天下の2回目の実験で、保冷容器にアルミホイール3重をしたものは、グラスウールと同等の性能までアップしていました。ただし、保温の実験では変化がありませんでした。

つまり、実験結果としては、
アルミホイール巻きだけでも一定の断熱・保温効果があり、他の保温材と併用すると、より効果を発揮する場合もあると考えられます。

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