筋交いの切断事故

前ページで『筋交いを使う軸組工法の場合、ある事故を非常に誘発しやすいのです。』と書いた答えは、軸組工法の時の筋交いの切断です。
このような事故は、私の所にも希に報告されます。いままでに1.2件しかないのですが、報告されたこと自体が、希なケースではないかと疑っています。
そのまえに、代表的な木造の工法である軸組工法と2X4工法でエアコンを重ね合わせて透視すると下の図のようになります。

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筋交い工法では、筋交いの位置と配管穴の位置が重なりやすい

エアコンの幅は、大体80cm内外が多いですから、ちょうど軸組工法で言う柱と柱の間に取り付けられるような状態になります。その時、筋交いがあると、右図のように、筋交いがどちらの向きに付いていても、また、エアコンが多少上下しても、筋交いと室内機の配管の穴が干渉しやすい位置に重なりやすいですね。(一般的に、室内機の両側のどちらかに配管穴を開ける場合がほとんどです)

ところが、2X4工法の場合は、右の図の右側のように筋交いなんていうものがありませんから、どこに穴を開けようが、あまり問題は発生しません。つまり、軸組工法でも筋交いを使っている壁にエアコンを取り付ける場合は、注意が必要です

犯人だけが知っている

冒頭にも書いたように「報告されるケースが希」とも書きましたそれは、下のような理由によります。

筋交いの発見は難しいのか?

エアコンを取り付ける業者は、大体木造の下地を見つけられるように「下地センサー」といった簡易な道具を持っています。これで、柱がどの場所にあるかといったものを調べるのですが、しかし、この道具は、壁の表面近くの木材の有無は調べられても、壁の奥にある筋交いなどの部材を見つけるのは不得意です。
特に上の図の軸組工法の壁の奥側になった筋交いの有無を見つけることは容易ではありません。
そうなると、感知しないですから、「下地はない。空洞だ・・」と誤解して穴を開けてしまいます。

また、実際に穴を開けている人は、何百回と穴を開けていますから、木材に穴を開けているのか、空洞なのかは、ドリルから伝わってくる感触でたちまち分かります。しかし、間違って木材に穴を開けていても、今更穴あけを止めるわけにはいきません。

つまり、筋交いかも知れないし、柱かも知れないが、とにかく壁の空洞でない部分に穴を開けたことは確かだと知りながら、知らん顔をしてそのままエアコンを取り付けてしまう・・・・。
こんな事も、いくつかは起こっているでしょうねぇ・・。

その背景

だって、エアコンの取付費はいくらですか?
ほとんどのエアコンは、標準工事費込みで売られているため、実際の取付代など、1台せいぜい1~2万円程度でしょう。安い機種なら数千円かも知れません。日当稼ぎにはなっても、儲かる商売ではありません。効率よく次から次に取付をしなければ割に合わない仕事です。

そんな背景を考えると、「筋交いを切断しました~」なんて正直に報告してもらえるなんて、氷山の一角かも?????

軸組工法で、筋交いのある壁にエアコンを取り付ける予定の人は、よくよく注意しておきましょう

試し開けをする業者
センサーだけでは奥にある筋交いはわからないので、奥に筋交いがないかどうかを、細くて長いキリを使って試しで穴を開ける業者さんもいます。
そのような業者さんなら安心ですね。
 エアコンの穴は、耐力壁の機能を減じないか
時々あるご質問ですが、『構造用合板などを張った耐力壁にエアコンの穴を開けても補強しなくて良いんですか。』というご質問をいただきます。
これは、国から技術的助言という形で公式見解が出ており、エアコンの穴程度の大きさ(100mmΦ未満)は、補強の必要は無い・・とされています。
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