どんな場所で起きやすいか
いろいろな条件があるため、一概に断定は出来ませんが、日本ではおおむね次のようなことがいえます。
2.南側より、北側の方が起こりやすい。
3.空気の流れがないと結露は起こりやすい。
マンションはなぜ結露が起きやすいのか。
一度マンションに住んだことのある人なら、戸建て住宅と比べどの部屋の温度も比較的安定し、平均化されています。冬はぽかぽかと、日中の南の部屋に降り注ぐ暖かい太陽は、部屋の暖房器具無しでもうたた寝が出来るほどです。
しかし、窓が少なく、換気がしにくいその構造は、一歩間違った使い方をすると常に結露の危険性をはらんでいるのです。通常、マンションは戸建て住宅より高い気密性を持っています。
鉄筋コンクリートで作られ、換気のための窓も南側と北側だけと少なく、換気扇も浴室・トイレ・台所以外には設けていません。
また、コンクリートは約10年間にわたってコンクリートの中の水分を外へ放出していきます。特に建築後1~3年の間はその放出が著しいとも言われています。
こんな部屋で、梅雨時、部屋を閉め切り換気をせず、室内に洗濯物を干している共稼ぎ世帯は、間違いなく室内のどこかで結露が発生していると考えて間違いありません。
洗濯物から空気中に拡散する水蒸気が空気中に含まれる量で収まっていればいいですが、その量が多いと、余った水分が最初は床・壁の表面に付き、結露の原因を作っていきます。
また、押入やクローゼットは、換気をしても空気の入れ換えが非常に少なく水蒸気を滞留させる場所となっています。
映像と実験を使えば非常に簡単に説明できる結露の原因も文章やイラストだけではなかなかわかりにくい部分があります。
今までの説明をあなたの想像力で補っていただき、結露のない快適な住まいを心がけてみてください。
対策
1.水蒸気が発生するものは、換気を併用する。
やかんでお湯を沸かす、鍋物をする、洗濯物を干す等々、水蒸気を発生させる原因はいろいろあります。
そんなときは必ず換気扇を併用しましょう。
(もちろん、窓を少し開け、吸気口を造っておくことは鉄則ですが)
また、換気扇はその発生源の近くで回すのが原則です。
洗濯物などを干すのは浴室で浴室換気扇を回しながら干すのがベスト。窓側のリビングで多少の日差しを浴びさせて干すのであれば、LDKの換気扇を回すのが鉄則です。
水蒸気の発生源と換気扇が遠くなればなるほど、空気は換気扇にいくまでに滞留できる場所があるとそこに滞留し、水蒸気もそこに残ります。
それは当然結露の原因を作っていることになります。
2.押入・クローゼットの空気を入れ換える。
晴れた日には時々押入やクローゼットの扉を開け、その中の空気を入れ換えることをお勧めします。
湿気が続いた季節にそのままにしておくと、その中で滞留した水蒸気は逃げ場を失い、室温が低くなり露点以下の温度になると結露となって現れます。
締め切ったままだと、それさえも発見できずなにか湿っぽい、かび臭いという現象になって初めて気づく場合があります。
3.換気扇は常に廻しておく。
マンションは、戸建て住宅と比べて、自然換気がしにくい造りになっています。
これを補うには換気扇を回すしかありません。
就寝中以外は、浴室か台所の換気扇を常に回しておくことが、結露を防ぐ一つの方法です。
お湯を沸かす、煮炊きをする以外にも湿気を発生させるものはいろいろあります。
常に空気を流し、入れ替える。
換気扇の寿命も心配ですが、10年後に取り替えても2~4万円程度ですから、ジメジメした不健康な部屋になることに比べれば安い費用ではないでしょうか。
注:現在では24時間換気は新築時に設けなければなりませんが、平成12年以前の古いマンションでは24時間換気が設けられていない場合がほとんどですから、入居者自身が換気扇などを廻す必要があります。
4.冬の石油・ガスストーブと加湿器は大敵。
石油やガスストーブは、安価ですぐ暖かくなる便利なものですが、ガスを燃焼させているときに大量の水蒸気を発生させています。
加湿器もその名の通り、室内に水蒸気を送っています。
ストーブで暖められた空気は、室温の上昇をもたらし、その結果空気中に含くむことが出来る水分の量の多くなります。
しかし
いったんストーブを止め、就寝しその部屋の温度が下がっていくと、今まで室温が高かったから空気中に含まれていた水蒸気が、室温低下とともに含みきれなくなり、水滴などの現象で表面化していきます。
いわゆる表面結露の発生です。しかし寝ていたり、部屋を使わないとその発生も気づきません。
その繰り返しがカビの発生となって現れてきます。
これらは、ストーブを使っているとき、止めてからしばらくの間換気扇を回すことによって相当防ぐことが出来ます。しかし北向きの部屋の場合、ほとんどのマンションに換気扇はついていません。
これらの原因でどうしても結露が発生する場合は、電気式暖房に変える、あるいは窓用換気扇を付けるなどしか解決方法はありません。
また、LDKなどの場合も換気を常に行う、ストーブを消してもしばらく換気をしておくことが重要です。
マンションの計画と問題点
近年、建物に対する断熱は公庫融資の条件であったり、断熱・結露の失敗や経験が積まれ、比較的十分な工事が行われるようになってきましたが、10年程度前まではまだまだ断熱や結露の認識が建築業界にも低かったことは事実です。
以前木造住宅に住んでいた人が快適なマンションに住むと、高気密であることを認識しないまま、木造住宅と同じ暮らし方をし、結果として結露を発生させているケースも見受けられます。
これは、その暮らし方を説明しない業界の責任もあります。もう少し換気を考えた設計にしない設計者やマンションデベロッパーの責任もあります。
建築技術(断熱性能・機密性)というハードは発達しましたが、それをどう使うかというソフト面、その説明を体系化した研究もまだまだ不十分です。
しかし、現実にマンションがある以上
マンションは、換気をしにくい=空気が入れ替わりにくい=水蒸気を逃がしにくいという欠点を抱えていますから、マンションにはマンションにあった生活の工夫も必要だということを考えておく必要があります。