そんなアホな!最高裁判決

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そんなアホな。

この裁判は、非常に多くの欠陥がある住宅を建てられた人が建て替えを求めて裁判を起こし、最高裁まで争って出された判決です。
この方は、三世帯住宅として自宅を建て替え、設計と監理は息子の友人の設計事務所に依頼し、工事は設計事務所の紹介で決まりました。しかし、工事途中から問題が発生し、竣工予定日から1ヶ月をすぎて入居しましたが、「気づいた欠陥は700カ所」という膨大な欠陥工事に、建築会社と交渉に入ったが、妥結せず、98年に建築会社の瑕疵担保責任、債務不履行、不法行為や設計事務所の債務不履行と不法行為を理由に、約4750万円の損害賠償を提訴しました。

争点 民法第635条但し書き

ここで問題になったのは、民法第635条に規定している但し書の趣旨をどう考えるかでした。

民法第635条
仕事の目的物に瑕疵ありて、之が為に契約を為したる目的を達すること能はざるときは、注文者は契約の解除為することを得。但し、建物その他土地の工作物についてはこの限りにあらず

つまり、仕事が完全でなければ、契約を解除できるが、建物や土地の工作物はその限りではない。という規定です。
しかし、建築主の提訴(建て替え額を損害賠償額とする提訴)にたいして、建築会社と設計事務所は、民法第635条但し書の規定から、その主張は当たらないと抗弁したのです。

判決の推移

結局、この判決は下図のように、一審の地裁では、提訴額にほぼ使い4320万円が損害賠償額として認められ、高裁では、弁護士費用や慰謝料等が減額されて3230万円を損害賠償額としたものの、今までの居住の利益600万円を差し引く3230万円の判決が下されました。それでもなお、建築会社側が上告したため、民法第635条但し書の解釈が初めて最高裁までいったのです。
結局、最高裁は、高裁判決を支持し、但し書きの規定を認めず2630万円の損害賠償額が確定しました。

この裁判を考えると

この裁判は、民法の但し書きが最高裁でどう判断されるかが注目され、最高裁は但し書きを認めないとする判決が出されて、住宅関連の業界紙や専門誌にはほとんどもれなく記事として掲載されました。
業者側から見ると、この判決は無茶苦茶な欠陥工事をすると建て替えの費用も認められるという最高裁判例が確定し、非常に大変な事態となります。

しかし、建築主の側からすると、当初提訴した4750万円の賠償額は認めてもらえず、欠陥住宅に住みながら、居住の利益を差し引かれるという判決は多大な損失をもたらします。 この方が欠陥住宅を建て替えたからと言って、建て替えに要する費用3440万円と引越費用や代替住居費用336万円、欠陥工事調査費用49万円、そして、弁護士費用推定400万円の合計4225万円の支出が必要なのに、実際に確定した判決は3230万円です。結局、約1000万円近い費用を自己負担しなければなりません。
よく欠陥工事や手抜き工事という被害を受ければ、裁判をすれば勝てるのでは??と、安易に考える人がいますが、今回の場合、一審では弁護士費用も慰謝料も認められましたが、実際の下級審では、このような費用を認めない場合も多く、また、時間も今回の場合は一審判決だけで、提訴から判決まで4年近くを費やしています。
下級審の判決はブレやすく、必ずしも提訴する側が期待する判決が出るとは限りません。また、多くの場合は判決が出るまでに和解ですましてしまう場合が多いのも事実です。 裁判ほど建築主の希望にそえないものは無く、多大な時間的、経済的犠牲を払わなくてはなりません。
裁判をしなくてもいい。欠陥工事などしない建築会社を慎重に決めることが本当は一番大事なことなのですょ。。。
ということを、改めて思う判決です。

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