幹線道路沿い、あるいは工場の近くなどの立地の場合、従来の建物構造だけではこれらの騒音を防ぐことは出来ません。
重い材料が空気伝達の音も、固体を伝わる音も遮るという原理から言えば、分厚い鉄筋コンクリート構造に防音サッシや二重サッシといった方法がベストでしょうが、すべての人がこの工法を採用することもできません。
外壁の防音
既存の建物のリフォームにも応用でき、在来軸組工法や2X4工法にも対応できる方法をご紹介します。
①は、普通の外壁です。
②は、室内の壁の石膏ボードを二重に貼っています。
③は、その石膏ボードの間に、さらに遮音シートを入れています。
ちなみに、マンションでは、外壁や住戸間のコンクリートの厚みは18cm程度です。
この場合の遮音性能は、45~50db程度ですから、③は、コンクリートの壁と同じ程度の遮音性能を持っていることになります。
窓からの防音
外壁からの騒音で、もっとも音が入ってくる場所の一つは窓からです。外壁自身の防音ばかり考えても、窓の防音をしないとなんの効果もありません。
①は、普通のサッシの場合です。
②は、防音サッシにした場合です。
③は、普通サッシと防音サッシの二重サッシにしています。
断熱防音サッシ
このタイプのサッシは、断熱性能の向上と防音性能の両方を確保したサッシです。
断熱性能の高いサッシの性能表から遮音性能値を探してみてください。
防音をすると言うことは、窓を閉め切る場合が多いですから、外気温を遮断し、室内の熱を逃がさない、エアコンの効率や省エネルギーの観点からも、これらのサッシにするのが最適です。
注:ホーンとデシベルは基本的に違いますが、おおざっぱに、デシベル=ホーン程度に考えてください。
■25dbとは下げるとは
防音性の高いサッシは、一般的には外部で発生している音の25db程度を下げる能力があると言われています。
しかし、音には低音・高音と呼ばれるように、音域があり、そのすべてを均一に遮断するものではありません。
どちらかというと、低音域の音は、高音域の音の半分程度しか遮断しないと考えた方が良さそうです。
db(デシベル)とホンの違い
■音の目安
db(デシベル)は周波数毎の音の大きさ
ホンは音全体の大きさと考えてください。
25db程度というのは、いろんな周波数(高音・低音取り混ぜて)の全体として25ホン程度下げるということで、実際には、高温域の方が減衰されやすく、低音域は、減衰しにくい性質があります。
壁と窓のバランスが大事
外部騒音の遮音は、壁の遮音性能と窓の遮音性能のバランスを出来る限り等しくすることが大切です。
そうでないと、音は遮音性能の弱い部分から伝わってきます。
左の図は、外壁は普通のもの、窓も普通のサッシを付けていると仮定しています。
外部騒音が60db(デシベル)ある場合は、上の例から、外壁からは30dbの音になり、窓からは45dbの音が入ってきます。
結果として聞こえる音は、高い方、45dbの大きさになります。
しかし、窓を③の二重サッシにすると、壁の遮音性能の方が低く、聞こえる音は、30dbになります。
この場合は、外壁も②の石膏ボード二重張りにすると、聞こえてくる音は、20dbに落とされます。
換気扇の落とし穴
音は、どんな隙間からでも入ってきます。
防音サッシは、窓枠と窓との間をゴム製のパッキンを入れることによって、微少な隙間を無くしています。
二重サッシは、文字通り、サッシを二重にして、音が入る隙間を少なくしようという発想です。住宅の中で一番隙間の多い部分。それは、換気扇なのです。いくら外壁や窓を遮音構造にしても、換気扇の隙間を埋めなければ音はどんどん入ってきます。
以下は、その対策の代表例ですが、詳しくは設計者などにお確かめください。
防音換気扇(壁付け) | 30db程度遮音できる。 |
防音フード | 防音換気扇と組み合わせると、 40db程度遮音できる。 |
防音ファン+防音グリル (天井換気扇用) | 40~50db程度遮音できる。 |