中古住宅診断などをしていると、同じような年代に建てられた建物でも、傷みの早い建物とそうでない建物があります。
『細長い建物よりは、四角い建物。住宅密集地よりは郊外の建物。高い建物よりは平屋の建物』の方が長持ちしているような印象がありますし、サイディングやモルタルの外壁など、同じ外壁でも、すぐに痛んだように感じる建物とそうでない建物があります。
その住宅の置かれた環境によって劣化の進行も変化しているようです。
また、全ての消費財がそうであるように、建物も同様に建てたときから「劣化」が始まります。
ところで同じ建物でも、2つの異なった「劣化」があります。
自然劣化
人為的なミスによる劣化
上のような材料や工法の自然劣化ではなく、仕事の不手際で考えていたよりも早く劣化してしまう場所です。逆説的にいうと、人為的な仕事の不手際が起こりやすい場所と言い換えた方が良いかも知れませんし、劣化と言うよりも人為的被害といった方が正しいかも知れません。
自然劣化の代表例は、外壁塗装ですね。何年かすれば塗り替えが必要です。それにやや近いのがサイディングに不可欠のシーリングです。このシーリングはサイディングの寿命よりも早いためにサイディングの弱点となっています。
・自然劣化・・・外壁塗装、サイディングのシーリング、樋
・人為的被害・・衛生配管からの漏水、排水ドレン、バルコニーの手すりからの漏水、雨漏り といった部分を次ページから具体的に説明していこうと思います。
この2つに特徴的なことは、
「自然劣化」は、建物があり続ける限り進行し、定期的なメンテナンスが必要です。
「人為的なミスによる劣化」は、新築後1~10年以内に発生することがほとんどで、気がつくことが遅くなりがちですし、被害も大きくなりがちですが、その原因を正せば、「自然劣化」の進行に戻ります。
人為的ミスによる劣化のチェックポイント
人為的なミスはなかなか顕在化しません。典型的に多いのは、何気なく床下点検口をのぞいたら、給水菅から漏水していて、床下が水浸しだった・・というのは、意外と多いのです。
建物完成後の3ヵ月、6ヵ月あるいは1年、2年点検は、業者がしない場合は、自ら点検口から除くだけでも異変に気づく場合が多いのです。