最初は小さな金額から、信用させて大きな金額をだまし取る
さて、60万円の契約をゲットした悪徳リフォーム会社が、たったこれだけの上がりで手をひくってえのは、悪徳の冠いただいている我が社の沽券(こけん)に関わる話だ。・・と本気で思っていたでしょうねぇ
工事が始まれば、世間話もまじえて、『屋根裏収納は暑いねぇ』という話をどちらが切り出したやら。。。
はたまた『床下の木が湿っているねぇ。腐っちゃうよ』という定番の話題も持ち出しながら、じわじわと包囲網を狭め、ついに「屋根裏の断熱工事、小屋組の耐震補強工事、床下の防湿コンクリートの打設」までを200万円の契約で取っちゃいました。
これを見た彼らは、『おいしいネタありがとう。古い家はちょっと探すと不安を煽るネタがいくらでも転がっているんやぁ』とでも思っていたでしょう。
そして、もちろん
最初から200万円なんかじゃありません。
「ホントは300万円かかるんだけど、奥さんだから特別に~」なんてお決まりのお銚子言葉は健在です。
まぁ、原価なんてあってないようなものですから、いくらでもいいんです。値段は相手の顔色次第・・・。
その間、職人さんは『一生懸命仕事をしているフリ』をしていたでしょう。見かけ上の礼儀正しい振る舞いも大事なことです。(実はこの方、最後まで職人さんの悪口は言いませんでした。それだけ礼儀正しかったようです。)
そんなこんなで、屋根裏の断熱工事、小屋の耐震補強、床下の防湿コンクリートで200万円を契約。そういうしているうちに、屋根工事も7割方終わり、小屋裏の断熱も終わりかけましたので、60万円を支払っています。
でも、さすがに屋根の工事は出来映えが見えませんが、あまりにちゃちな小屋裏の断熱。頼りになるのかならないのかわからない耐震補強金物を見るに付け、本当に大丈夫・・・という不信感が生まれてきました。
そして、やっと娘さん(被害をあわれた方の実の娘さん)に電話入れたのです。
「なんかおかしいけど、大丈夫なんだろうか・・」
なにかおかしい?
60万円の契約と、200万円の契約を済ませ、屋根の補強工事も終わりに近づき、暑かった小屋裏収納の天井にも断熱材が張られていきましたが、近くで工事をするようになってから、素人目に見ても、何かちゃちな工事・・・
気になったので、とうとう近くに住んでいる実の娘さんに電話を入れました。
「なんとなくおかしいんだけど・・」
でも、それは60万円を支払ってしまった後です。
すぐに駆けつけた娘さんは、異変に気づき、すぐに工事を止めたのですが、さぁ。そこからどう対処していいのかわかりません。そもそも、工事がおかしいとはわかるのですが、どこまでおかしいのかがわからないのです。
- 瓦の工事は、こんなことをするのが適正なのか?
- 断熱材ってこんないい加減な張り方でいいのだろうか?
- 耐震金物ってたった4つでこんなに高いの?
いかにしっかり者の娘さんでも、工事の一つ一つが適正なのかどうかまではわかりません。つまり、おかしいとは思っても『確信が持てない』状態だったのです。
ネットで調べても、瓦をシーリングだけで止めるのはおかしな工事・・「らしい」・・ことはわかりましたが、それ以外はその工事がいいのか悪いのかすらわかりません。
これがインターネットの限界です。
(注:この限界を知らずに、ネットがすべてだと早合点してしまう建築主もいますよ。)
そして何よりも、ネットで調べた程度の知識で相手と対峙しても、にわか仕込みの知識など良いようにあしらわれてしまいます。
そんな懸念も頭をよぎります。
そうこうして、いろいろ調べても『確信』がもてず、探し当てて、私の方に依頼がありました。それは、工事そのものが適正かどうかと、価格が適正かどうか。そして何より、写真を見せてもらっただけで「悪質リフォーム会社」の仕業であることはすぐにわかりましたから、後始末をどうするか。
言い換えれば、すでに支払った60万円が回収できるかどうかと言うのが、最大の問題となったのです。
下の写真は、小屋裏収納の梁に塗られた『木材補強塗料』と称するもの。
実際には、炭素繊維シートなどを張り合わせて補強するための接着剤で、使った接着剤そのものは最強の接着剤だが、全く使い方を間違って塗ったもの・・未だにさわるとべたべたしている。
直感って大事なんですよ!