住宅会社のバラツキ度

私たちが住まいを建てよう、あるいは購入しようとするときには、ついつい、どんな建物でも、どんな住宅会社が建てた建物でも一定の品質があるのだろう。と思ってしまいがちです。

なぜそういう感覚になるのかというと、私たちが世の中で買う「日用品・家電製品・食品などほとんどの品物」は、どこで買っても当たりはずれのないものを買っているからです。

あのスーパーで買った方が安いとか、あの家電量販店で買った方が安いと言った値段の高い安いはあるものの、あのスーパーの大根は時々腐っている、あのメーカーの品物はすぐに壊れる…なんて事はありませんね。それだけ品質管理が徹底しているとも言えるのですが…

では住宅はどうなのでしょうか。

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飲食店に近い業態

住宅はどちらかというと食堂やレストランという「飲食店」に近い感覚で見ると業界というものをイメージしやすいのではないでしょうか。大衆食堂、ファミレス、レストラン、フランス料理専門店、懐石料理・・と並べていっただけでも、値段も異なり、味も異なりまし、料理などは、同じ料理であっても、使っている食材は大きく変わらなくても、味付けをする調理人の腕一つ、盛りつけ一つで味も雰囲気も大きく変わってきます。

そのために「行列のできる繁盛店」から「閑古鳥の鳴く店」まで、あるいは「味の良い店」から、「値段の割りに・・・・・」といった形容詞が付けられるのは「飲食店」だけではないでしょうか。そういう意味では、実に様々なタイプのお店が存在しています。

そして、誰でも支払ったお金よりも味やサービスが悪ければ『高い』と感じ、支払ったお金よりも味やサービスが良ければ『安い』と感じますね。

この味やサービスは住宅で言えば、「品質」という言葉で置き換えることができますし、この品質はたとえば、契約に至るまでの対応、図面を書いているときの接客態度といったサービス面から、建物の仕様と言われる現実のグレードの部分、そして工事に入ってからの丁重な工事か、雑な工事かといったまさに品質管理面まで、一連の物事を総称しています。

これを住宅会社に当てはめてみましょう。

住宅も競争社会である限り、高価格-高品質、中価格-中品質、低価格-低品質という大きな3つのグループがあります。
それが良い意味で出ると、いわゆる味はよいのに低価格という「行列のできる店」という感じのイメージでしょうし、価格が高いのに、低品質だと一度は食べても二度と行かなくなってしまう閑古鳥の鳴く飲食店となってしまいます。いわゆる割高感、割安感ですね。

でも見かけで分からないのが住宅会社

でも「飲食店」は比較的わかりやすいですね。行列ができていれば入ってみたくなる。いつも店ががらんとしていれば入る前から躊躇する。

それは、なぜでしょうか。
それは、「支払うお金に対して、返ってくる品質の値踏みを先に予想する事ができる」からですね。

ところが住宅はそうはいきません。きれいなバンフレットがあっても、それが最終的にどういう品質を保証してくれるのかビンと来ません。住宅を買うという行為そのものが初めてなのですから比較をする術すら持ち合わせていませんね。どの会社が割高な会社なのか、どんな会社が割安なのかなんて、いくら会社のパンフレットを見ても分かりません

一生に一回の買い物なのに、そういう部分が外観からわかりにくいために、住宅会社選びは誰しも一抹の不安を覚える部分ですね。
でも、世の中には一定の法則があります。それを頭に入れていろいろな会社を当たるのもひとつの安全策ですし、このページはその傾向をご紹介して見ましょう。

大手ハウスメーカー

大手ハウスメーカーといっても上場している会社から、上場はしていないが全国展開をしている会社という規模で考えてみると、右のような関係で、高級路線、中庸な仕様、ローコスト路線を行く会社まで幅広くあります。また、一つの会社でも高級な仕様と、時勢としてローコスト仕様を併設している会社などいろいろありますが、総じて価格と品質のバラツキが少ないのが特徴です。
つまり、当たりはずれは少ない。。。

ただ、低価格路線になるほど、いわゆるサービス(物理的仕様以外の部分)といった面の品質は、価格と同様に低下する傾向があります。その点はバラツキが少ないからと言って高価格路線と同じサービスが低価格路線で受けられるわけではありません。

分譲・建売系

これは大きくは、大手ハウスメーカーや電鉄系の分譲住宅を中心として販売している分譲住宅グループと、大きめの分譲地を手広く販売している大手の建売系業者や小さな区画を分けて販売している地場の建売業者。この3のグループに分けられるのではないでしょうか。

大手ハウスメーカーや電鉄系の分譲住宅の販売を中心としたグループの大きな特徴は、品質は比較的高く、又住宅の規模も大きめという特徴があり、仕様が高い分、価格も高めの設定で販売している傾向が強いです。

反対に、大手建売業者や地場の建売業者のほとんどは、建築条件付きの土地契でまず土地の契約をしてから、顧客の要望を聞きながら間取りを考えていく、という注文住宅に近いスタイルを取っています。

なぜこんな方法を取るかというと、顧客に間取りを自由に考えてもらえるというメリットを提供するという建前よりも、建売で建ててしまったときの「売れ残りリスク」を低減させる売る側の本音の目的が強いために、建築条件付きという方法を多用しています。

そして、このタイプでは、 仕様も価格も横並びというのが大きな特徴です。
その理由は、上の大手ハウスメーカーや電鉄系のように自社開発の大きな分譲団地での販売ではなく、近くの競合するエリアで多くの建売会社と競争するため、独自で高仕様なものをつくっても販売価格が高くなるだけで売れにくく、反対にローコストのものをつくっても利益が出ないといった理由から、仕様も価格もおなじようなものを提供している場合が多いのです。

しかし、地場建売系では、見かけの仕様は他の会社全く同じでも、施工品質が悪かったり、設計の対応が悪かったりといった価格の割りに仕様を低く感じてしまう下プレ傾向がでるのが特徴です。

つまり、見かけは良い店だったのに、味はまずかった。もう二度と行かない・・とでも言うタイプでしょうか。
普通の店とそうでないできの悪い店が混じっているのが地場建売系の特徴です。
そして、一般的には施工棟数が多くなるほど、品質も安定し、向上する傾向にあります。

工務店系

いわゆる工務店。もちろん、工務店と言ってもいろいろで、大手に迫ろうとしている大規模なものから、1人親方の工務店まで千差万別。輸入住宅に特化したり、高気密・高断熱に特化したりいろいろ個性溢れる特徴を出しているのもこの系統です。フランチャイズ系も結局は工務店のグループに入ります。

そして、その個性の多さが、実は「行列のできるラーメン店」と思うような価格の割りに品質のよい工務店があったりから、「もう二度と行くもんか、こんなひどい店」から、「このお店。私の相性にぴったり」といった、実に様々なタイプの店があるのがこの工務店系の傾向ですよ。

もちろん、その中には安さを売り物にひどい欠陥工事をする会社「安かろう悪かろうの業者」だって存在していますからね。
その代わり、大手ハウスメーカーよりも安いのに、品質は大手ハウスメーカーよりも良い。といった会社があるのも、この工務店というグループですね。
つまり、もっともバラツキの大きいのがこの工務店系です。言い換えれば、当たりはずれの大きさですね。

このように、住宅会社も飲食店と同じように考えるとわかりやすいかも知れませんね。
世の中にいろんな飲食店があるように、いろんなタイプの住宅会社があることを知っておきましょう。品質は一定ではありませんよ。

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ちょこっとCOLUMN

設計者も当たりはずれ大!

上では住宅会社について説明しましたが、これは設計者も同じです。

一般的には設計スタッフが多い会社ほど、設計品質も安定していく傾向があります。反対に、一つの会社に一人の設計者といった設計者が少ない場合や、設計を外注でしているような場合は、どちらかというとその設計者自体の個人的な力量に左右されてしまうため、さらにいえば、その個人の性格、たとえば「親切心がある」「自分の業務以外は無関心」といった性格にも大きく左右され、いわば当たりはずれが大きくなりやすいという傾向があります。

別な表現をすれば、住宅会社よりもバラツキが大きいのが『設計者・建築士』というものでしょうね。

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