フラット35Sで選別しよう

【フラット35】S(優良住宅取得支援制度)とは、【フラット35】をお申込みのお客様が、省エネルギー、耐震などの要件を満たす住宅を取得される場合に、金利の優遇を受けることができる制度です。
この方法は、小規模、零細規模の住宅会社に仕事を依頼しようとするときに有効な方法です。

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なぜフラット35Sを勧めるの?

あなたは、自分の住まいを考えるときに建物の性能を考えたことがありますか?

住宅設備や内外装といった見栄えも大事ですが、目には見えない建物の仕様によって、その建物の耐久性や耐震性、あるいは断熱性(省エネルギー性)、メンテナンスの容易さなども変化し、実は建物ごとに大きな品質の格差が隠されているのです。
それは、決して坪いくらの世界ではわからない部分です。

この融資を受けるためには、以下で説明しているような性能表示制度の代表的な4つの性能の中からどれか1つ以上の性能を付加する必要があります。そのため、 公的機関から融資を受ける予定が無くても、自分自身の建物の性能を確かめる目安になったり、あるいは、これから契約しようとする業者の質やレベルを知る上で非常にいいお手本になるのです。

では、なぜそうなのかを詳しく見ていきましょう。

フラット35との違い

今までのフラット35を図解してみると、耐久性(劣化の低減)は、等級2をクリアさせ、断熱は最低基準をクリアすれば良く、省エネルギーやバリアフリーは割増融資の対象でした。

しかし、フラット35Sでは、フラット35の仕様は最低限確保しながら、耐震性、省エネ、バリアフリー、耐久性+維持管理の4項目のうちのどれか1つの仕様を建物に付加しなければ使えないようになったのです。

サポートサービスの平均像は

では、過去のサポートサービスを受けられた方の建物の仕様の平均像はどのようなものだったのでしょうか。

下表のように、大手ハウスメースーでは、次世代省エネルギーモデルでないものや、バリアフリー以外はほとんど最高等級です。
対して、大手ハウスメーカー以外では、やはりやや低めのランクが平均像となっています。

フラット35Sのポイント

性能表示の1つ以上の性能を付加する必要がある

従来の公庫融資では、オプションを使えば別ですが、単に公庫融資、あるいはフラット35の融資をつけようと思えば、耐久性仕様と言われる、建物を長持ちさせるだけの仕様を融資の仕様としていました。

この耐久性仕様は、性能表示で言う「劣化の低減」の等級2以上あればよかったのですが、フラット35Sでは、下の仕様のうち、いずれか1つ以上の仕様を建物につけて初めて融資を受けることができるようになりました。

どんな仕様から選ぶのか

フラット35Sでは、次の中のいずれかの仕様をクリアさせる必要があります。

  • 断熱性:省エネルギー等級4(次世代省エネルギー仕様)
  • 耐震性:耐震等級2以上
  • バリアフリー性:バリアフリーの等級3以上
  • 耐久性と維持管理:劣化の低減等級の3以上で、かつ、維持管理の等級の2以上。

それぞれをチェック

では一つ一つの仕様の難易度やメリットを見ていきましょう。
★1つが、コストアップ10万円といった目安でしょうか。

省エネルギー対策等級4であること

夏冬の冷暖房費が大きく軽減され、快適な室内空間を得ることができますが、採用コストも一番大きい仕様です。
注:今まで省エネルギー仕様の仕事しかしたことにない建築会社からすれば、数十万円以上コストが上がる可能性があります。

難易度、コストアップ度:★★★★★★★★

耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2又は3、又は免震建築物であること

耐震性のサポートサービスでの平均像(耐力壁の量)は、軸組工法で耐震等級2前後、2X4工法で、耐震等級3前後です。
軸組工法であれば、剛床とし、外壁だけでなく、バランスよく耐力壁を配置すれば基本的に、どの建物でも取得可能ですし、費用もほとんどかかりません。むしろ、耐震等級2といった計算ができる技術力が必要です。
注:耐震等級の計算ができない建築会社が非常に多い。

難易度、コストアップ度:★★ (コストより技術力が必要)

高齢者等配慮対策等級3、4又は5であること

今の建物の仕様では、バリアフリーの等級3は、ほとんど例外なくクリアできる仕様で、手すりの付加だけが追加コストの要素でしょう。

難易度、コストアップ度:☆

劣化対策等級3、かつ、維持管理対策等級2又は3であること

劣化の低減は、公庫の耐久性仕様と同じなのですが、公庫の耐久性仕様は、等級2です。そのため、等級3にするためには、外壁通気工法を採用する必要があり、サイディングならほぼ自動的に通気工法なので大きなコストアップはありませんが、外壁モルタルの場合は下地を考える必要があり、少し敷居の高い仕様になっています。

ちなみに、サポートサービスの平均像は等級2。大手ハウスメーカーは、例外なく等級3です。

難易度、コストアップ度:★★★ (モルタル外壁)
難易度、コストアップ度:★(サイディング外壁)

また、維持管理の関係では、配管をコンクリート内に埋設できないため、排水管などは、すべてさや管といわれる配管を通す管を用意する必要があります。そのため少しコストアップする会社が多いでしょう。

難易度、コストアップ度:★★(施工の慣れが必要)

写真左がコンクリート埋設の排水管(維持管理の等級2は通らない)写真右が、さや管方式の排水管で、この中に別の排水管が通り、将来排水管の取れ換えが可能になる。(維持管理の等級2に必須)

まとめ

建物の性能をきちんと説明できる業者を選ぶこと

これからの時代は、口先だけの説明ではなく、坪いくらの説明でもなく、自社の仕様や性能をきちんと説明できるような業者を選ぶことが大事なのではないでしょうか。

この”フラット35S”は、今までの説明のように、性能表示の中のそれぞれ性能の高い仕様をどれか1つ選択する必要があります。それには、それなりの技術力や下請けの教育なくして出来ません。

ただ残念ですが、これら性能表示の「省エネルギー」「耐震等級」「耐久性」「維持管理」のすべての項目をきちんと理解し、説明できる住宅会社もまだまた少数派です。小規模、零細企業ほどその傾向が強いです。

業者の質(レベル)を選別するような材料となる

そういう現実をふまえられた上で、この融資は、融資を使うかどうかではなく、このような制度にもきちんと対応できるレベルの業者なのか、この仕様の中身すらよくわからない業者なのか、業者を値踏みするときの非常に良い材料になるのです。

つまり、注文住宅であれば、『フラット35Sの○○と○○の性能をクリアさせた建物を作りたいのだが・・』
建築条件付きなどの建物であれば、『御社の住宅をフラット35Sの○○と○○の性能をクリアさせるといくらアップするの』といった質問を投げかけ、明確な返事が返ってくれば技術力の高いできる会社と考えて良いでしょう。

でも、「対応できますよ。でも手続きにもお金がかかるだけですからやめておきましょう。それ相当の仕様でちゃんと作りますから」とお茶を濁すような営業トークをやり出す口先だけの業者も必ず出てきますから、それをも選別できる知識と度量が建築主の方に必要ですよ。

今は出来なくても、これを機会に何とか勉強して付いていこうと考えている前向きな業者を捜すべきでしょうね。

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