古民家 VS モダン住宅 涼しさ対決

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台風と建物


2011年7月15日。
非常に貴重な経験をしてきました。
台風前のもっとも暑かった日です。

建物は完成したのですが、少し気になるところがあり、客観的な第三者の目で完成度をジャッジとして欲しい、という依頼を受け、滋賀県の新築住宅(未入居、引き渡し前)に伺い、一般的な完成検査を行いました。

 

モダンな住宅の概要

その家は、上の写真(下)にあるような、いわゆるモダンなデザインの住宅で、屋根はガルバニューム鋼板。断熱は次世代省エネルギー仕様(ただしトレードオフ制度利用)、ガラスはペアガラス(Low-Eではありません)、写真のデザイン同様に庇は全くありません。(写真はイメージです。伺った家そのものではありません)

断熱は天井、外壁とも高性能グラスウール16K 100mmで、外壁は、モルタル及びフラットなサイディングです。
まさに上の写真のようなモダンな家だったのです。 そして少し広い家だったので、検査のために1時間半程度いたでしょうか。 窓は開いていますが、エアコンは入っていません。

そうすると、やはり途中から身体に汗が浸みだしてきます。 1時間半たったころには、そこそこ身体全体にビッシリと汗が吹き出していました。 そりゃあ、冷房の入っていない室内にずっといたのですから暑いです。

そして、総括のために、すぐ隣にある母屋の方にお邪魔しました。

 

古民家の概要

そこは、上の写真(上)のように、日本瓦の屋根、大きなたたずまい。土壁。そして何より大きな庇。開放的な間取りのよく田舎の古い民家にある住宅そのものなのですが、その家の涼しかったこと。(それぞれイメージです)

 たった一杯の麦茶だけで、今まで噴き出していた汗も引いていき、十分に身体が冷えていきました。 そして、30分座っていても、汗も出てきません
(もちろん、エアコンなど入っていません。窓を開けているだけです)

モダンな家と古民家の比較

この2つの家。
新しい家は、息子さんのために建てられた家。
となりの母屋(古民家)は、そのご両親の家なのです。

よく日本の住宅は夏向きに作られている・・という話を聞くことがあります。
そうだろうとは思いつつ、言葉の受け売りをしてきた私ですが、 今回、全く同時に、本当に隣り合わせで、瓦屋根、土壁、大きな庇を持つ本当の古民家と、薄い鉄板の屋根、庇もなく、断熱材だけで暑さをしのぐ現代住宅、特にもっともモダンなデザインと思われる住宅の完全な実体験を比較してみると、まさに昔の住宅は、次世代省エネルギーの住宅だ~なんて偉そうにしている住宅よりもはるかにはるかに夏はしのぎやすかったのです。

こういう実体験はしたくてもなかなか出来ません。少なくとも同時に、同じ場所で正反対の住宅にお邪魔できる機会などまず無いでしょう。ひょんなことから、本当に得難い経験をすることが出来、同時にその違いを実感することが出来ました。

 

結論

どんなに断熱技術が向上しようとも、厚い瓦、気温を下げる大きな屋根裏や土壁、太陽を遮る大きな庇、開放的な間取りと、そこを吹き抜ける風から得られる『涼』は、逆立ちしても今の断熱技術で補えきれるもので無いと感じてしまいました。

大きなお寺のお堂をイメージしてもらうと良くわかると思います。

端的に言えば、エアコンがなければ汗が噴き出してくる次世代住宅 何もしなくても窓を開けるだけ、麦茶一杯で涼しい古民家夏のエコ対決は、古民家の圧倒的勝利でした。
注:あくまでも夏の比較です。

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