とある冬。金沢にお住まいのCさんから電話をいただきました。
「コンセントからすきま風を感じる」というものです。
このような場合、だいたいは断熱材の施工不良が疑われるので、そういう予測を立てつつ、現地にうかがいます。
すきま風を感じるコンセントはある程度範囲が限られていたのと、幸い天井照明がダウンライトだったので、断熱不良が疑われる付近の天井に設けられたダウンライトを外して天井裏にカメラを入れて撮影すると、すきま風の原因がはっきりとうつされていました。
まず、Cさんの家の間取りを紹介しましょう。
下の図のように、家の両側は平屋で、中央部(青色)だけが2階建てです。そして、コンセントからすきま風を感じてのも中央の青色の部屋からです。
そのため、両側の平屋の部屋の天井に付いているダウンライトなどを取ってカメラを入れて撮影すると、下の写真のようになっていたのです。
写真左が図のAの方向から取った写真。写真右はBの方向から取った写真です。
左(A方向)の写真では断熱材がすき間無く映っていますが、右(B方向)の写真では、すき間が見えます。どちらの写真も矢印の下方向(水平に見える断熱材)は天井断熱、上方向(垂直になっている断熱材)は外壁の断熱材が映っています。

■典型的に断熱の施工不良
これは、下の図のような状態の、実は典型的な断熱材の施工不良で、非常に起こりやすい施工不良です。
1階の屋根のために小屋裏換気として設けられている軒先換気口などから小屋裏に入った外気が、間仕切り壁を通り、その壁に設けられているコンセントを通じてすきま風として流れ出ていたのです。
関東や関西、中京地区などの温暖な地域でも非常に多い断熱工事の施工不良で、施工不良がされていても、建築主の方も「冬はさすがには寒いなぁ」と感じるだけでなかなか気がつかないのが一般的です。
でも、住宅そのものの気密性が高くなってきたことと、やはり、長くは積もらないが時々積雪する北陸金沢という準寒冷地といったところだったので、寒さに敏感で気がつかれたのでしょう。
特に、24時間換気のための吸気口を締め、かつ、キッチンの換気扇などを回すと、コンセント等からのすきま風をよりはっきりと感じます。換気扇が空気を引くからですね。
しかし、A.B両側のうち片方はキチンと断熱材を立ち上げてすき間を塞いでいたのに、もう片方はすき間を塞いでいない、実に中途半端な工事だったのです。
温暖地域では、このような施工不良があってもほとんど気がつかないのが実情ですが、少し寒い地域に行くと、この C邸のように「コンセントからすきま風を感じる」ことがあります。
ただ、24時間換気を設けていて、吸気口も開放している場合は、そこからも外気が入るので、このような施工不良があっても、すきま風をあまり意識できません。
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