現場にいない現場監督?

すでに住まいを建てられた方なら分かりますが、建築主と打合せがあるときならいざ知らず、家が近くだからと、時々現場をのぞいてみても、職人の姿は見かけても、現場監督の姿を見かけることはほとんど無いはずです。

ほとんど現場にいない現場監督。
それだけ忙しいのでしょうか?

そうなると現場監督って何をしてるの・・・と気になりますが、どの程度現場を掛け持ちしているかは、季節や会社によって一概に言えませんが、概ね一人で数件程度は持っているのが普通です。確かに現場も点在していれば移動に時間がかかるので一つの現場になかなか長く居れない・・というのは事実ですが、それだけが現場で見かけない理由ではありません。

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工程管理(段取り)

現場監督の最大の仕事は『工程管理(段取り)』です。

住宅の仕事は多岐にわたる下請を使う必要があります。
地盤補強→基礎工事→大工工事と続きますが、それぞれの下請に、いつから現場に入れ。いつまでに終わらせろ。と言うことを指示するのが段取りで、上棟してからも、いろいろな下請が重複して入っていきますが、前工程が遅れていれば、次の工程で入る下請を後にずらすと言った『工程の調整』が必要です。

この『工程管理(段取り)』がマズイと、『今日現場に行ったら、まだ、ワシラの仕事は出来ないじゃないか。ムダ手間を取らすな』なんて下請からお叱りの言葉をもらいますし、遅すぎれば、工期がいくらあっても足りません。

つまり、もっとも適切なタイミングで、それぞれの下請を入れる指示をするのが『工程管理(段取り)』なのです。

上の表は、住宅の工事で見られるごく一般的な職種を表していますが、一件の住宅を完成させるのに、会社の発注方法によって多少異なりますが、おおむね20~30社のいろいろな職種、下請を使いながら建物を建てていきます。
これをタイミング良く現場に入れていかなければ、工事は遅れてしまいます。

かといって、下請もたった一社の元請け会社の仕事をしているわけではありませんから、他の現場で忙しければ、いくら「来い」と言われてもほったらかしてはいけません。 つまり、自分の会社の専属の下請・・なんてものは基本的にありませんから、現場監督ですら、下請会社の仕事の混み具合を聞き、相談しながら日程を決めて行かざるを得ません。

「おい。あんたとこ、○日から○○邸の現場に入ってほしいんだが・・」
「いや~。あと数日、他の現場でどうにもならん」
「ちょっと工事が遅れてる。応援入れてよ・・」
「いや~。他の現場も手一杯で、これ以上は・・」

なんて会話は日常茶飯事です。

工程を作れば、工事はその通り動くと思ったら大間違い
みんなが予定を持ち、他の仕事も抱えている下請を使いながら、自分の工事に都合の良い日程を割りふるしごと。
はっきり言って、本気でやれば、なかなか大変ですよ。

トラブルの後始末

次に多いのが意外とトラブルの後始末です。トラブルといってもいろいろですが、一つは大工が図面を読み間違えて違う物を作った。といったトラブル。
これ以外では、建築主から間違いを指摘された。
そして、下請が隣の家の塀を壊した・・・なんて話になろうものなら、2.3日は後始末で忙殺されます。

いずれにしても想定外の出来事への対処ですが、想定外だからこそあちこちの下請への連絡など、結構対処に時間がかかります

実行予算と発注

これは会社の仕組みによっても違いますが、現場監督が実行予算、いわゆる工事原価を最終的に組む場合が多く、事務所では下請と、『もっと安くしてくれよ~』という簡単な話が値引き交渉が行われていますし、それと同時に行うのが下請への正式な発注です。

この作業次第で、会社がどの程度儲かるかが決まる大事な仕事です。

・・・とやっていくと、その過半が、『段取り』『トラブル処理』『実行予算と発注』で、実は『品質管理』なんて仕事は、しなければならない仕事の順位で言うと、少なくとも4番目以降であることが分かりますね。

私が現場監督のような仕事をしていたときも似たような感じでした。実行予算を決める→下請を入れるタイミングを計る→トラブルを処理する→やっと時間があれば現場を見まわす、といった事をしていましたね。

現場監督と打合せをしていると、ひっきりなしに電話が入る場合がありますが、大体上の3つの要件です。

 

途中で変更するな
現場監督最大の仕事が段取りだ・・と書きましたが、現場監督の一番イヤな話は、工事途中での変更です。
建築主の手前はニコニコ顔で聞いていても、内心は、『うわぁ。あそこの発注止めなくっちゃ』とか、『この仕事を済まさないと次の仕事が出来ない。工期がずれる』とか、頭の中ではまさに『段取りの調整』で一杯なのです。
工事着工までに決めるべきものは決める。それが現場でトラブルを起こさせない一つの方法ですよ。
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