さて、最初にお断りですが、世の中外観だけで、『こいつは出来る人だ』『こいつはダメだ』というふるいが簡単にかけられるほど甘くはありません。
我が身がリストラされて再就職の面接だ~って時は誰だって、最高度の緊張と同時に、最高度の好印象を狙うのですから、人と接することが仕事の営業マンを外観と第一印象だけで正しく見分ける方法などありませんね。
人を見抜くためにもある程度の経験と知識が必要ですが、でもまぁ、みんなが人事経験者なんてことはあり得ないので、そうでなくてもある程度出来る方法とは・・・・。
知ってる知識で相手の力量を計る
比較的簡単な見分け方は、建物に関する自分がよく知っている部分の質問をしてみましょう。
たとえば、「○○を少し考えているんですが、あなたはどうお考えですか。メリット・デメリットを教えてください。」
あるいは、「○○を少し考えているんですが、マイナス面を教えてください」と、答えを示さずにその人の考え方を聞く。
特にデメリット、マイナス面を聞くことで、知識の深さを知ることが出来ます。
また、このとき、知らないことを聞いてもダメですよ!その返事が正しいのかどうかわかりませんから。
難しい要求をちらつかせて反応を見る
さて、このような例の問いかけをしてみると、相手の反応はだいたい2つに分かれます。
受け止めてくれる
出来る出来ないにかかわらず、そういう方法はこれだから止めた方がよいとか、これこれのコストがかかるとか、相手の立場で、その理由をわかる形で説明してくれます。
はぐらかす
もう一つの典型的パターンは「はぐらかす」
「そんなことしても意味ないですよ」
・・・どう意味がないのかは説明できません。
「誰もそこまでしていませんよ」
・・・統計値もないのに、あたかも誰もがしていないように錯覚させる。要は、要領の得ないはぐらかしですね。
ここまで書いてみて思ったのですが、なんか、意地悪面接官みたいですね。
まぁ、そういうつもりで一番最初は営業マンと対峙するのも良いですよ。
面接官になれる~なんてことは滅多にないことですから。
納得するまで聞く(腑に落ちるまで聞け)
実はこのときに、たった一回で終わるのはダメ。
特に良い営業マンの場合は説明も明快なので、すっと納得できるのですが、出来ない営業マンの説明はまどろっこしく、あるいは抽象的なのでなかなか腑に落ちません。(この理由は、自分がわかっていないから、人に説明できないのです)
つまり、自分が『なるほど』と納得できる、言い換えれば『腑に落ちる』説明が来るまで、同じ質問を続けることです。
そして、最後まで説明がよくわからなければ、それは『はぐらかし』を信条とする出来ない営業マン(信頼できない営業マン)ということになります。
言い換えれば、相手が納得できるまで、説明してくれるのが良い営業マン(信頼できる営業マン)と考えても良いでしょう。
つまり、面接官の技量によっても人の評価って変わってくるんですね。
何となくわからないが・・でやめてしまうと、いつまでたって人は見抜けません。
でも、いくらいろんな方法で営業マンを見切ったとしても、住宅を買う、建てるという行為は、それだけで割りきれる問題でもありませんが・・・・。
規模と販売形態による営業トラブルのいろいろ
上で営業マンの見分け方・・というものを書きましたが、これについては多少の予備知識が必要です。
全てを同じような見方で見てしまうと失敗しますよ。
もっとも多いトラブル-建築条件付き
そもそも注文住宅というのは、土地をもっていますから、複数の住宅会社に対しても見積もりを取ることが出来ます。そこに競争が生まれます。
しかし、建築条件付きの建物の場合は、最初に土地ありきです。その土地と場所と建物とのトータル価格が気に入ったから、その物件を買おうとします。その結果、建物は自動的に売り主が建てる条件となっています。
この違いのために、建築条件付きでは『建物についての競争』というものがありませんし、建物の価格もグレードもほとんど横並びです。
1)小・零細建売業者-トラブル最多
大手の建売業者は広告から営業まで一切を自社で仕切っているために営業マンは自社社員がほとんどですが、小・零細規模の業者は仲介業者の力で物件を売ってもらわなければなりません。そして、建物の打ち合わせも仲介業者を経由して行うことが多いため、もっともトラブルが多く発生します。
土地の立地と価格が良ければ売れるので、あえて建物全般の知識など必要ないからです。
小・零細建売業者と小・零細仲介業者の組み合わせは、トラブルNO.1の組み合わせです。
2)大手規模建売業者(建築条件付きの販売)-比較的安定
優良な会社は、自社の社員教育もきっちりしており、社員の定着率も良いため、上の表に書いているように、いろんな客に揉まれるうちにしっかり者になりがちです。
3)中規模建売業者(建築条件付きの販売)ー拡大志向は要注意
しかし、中規模クラスなり、規模拡大志向の建売業者では売上指向が強く出た場合は、社員もノルマとなる自分の売上に走り、いわゆる『釣った魚に餌はいらない』タイプの営業マンがいる場合も多いです。
また、こういう会社は社員の給与が売上歩合が多いため、社員の入れ替わりも激しいという傾向があります。
つまり、契約を取るだけのその場限りの無責任な営業マンがいる可能性があります。
注文住宅の営業マンでは、決して見られない傾向ですね。
注文住宅・大手-ブランド力に支えられ
優秀な社員も多く知識も豊富ですが、自社の特性には詳しくても、他の工法などはからっきしダメです。
ブランド力で営業できますので、その枠から抜け出している社員はほとんどいません。
1)注文住宅・一般-ばらつき有り
いわゆる普通の工務店と考えれば良いでしょうか。あるいは輸入住宅などもそうですが、多少の偏りがあります。
その結果、ここは詳しいが、ここの知識は全く無しという営業マンも多いです。
自分が不得意な分野の質問は苦手で、そのことから信用を無くす場面も多いです。
2)注文住宅・ローコスト系-営業マン個人の資質に左右されがち
最近はどこもローコスト住宅に参入しています。無知識で価格だけで競争に勝てる時代ではなくなりました。
しかし、これも拡大志向の会社では、社員の供給・教育がそのスピードに追いつかず、個人差がもろに出る未熟な組織ですから、担当した営業マンの資質そのものに大きく左右されがちです。
組織が未成熟な会社は、営業マン個人の資質に左右されるため、物足りなさ、不安感を感じる営業マンも多いのがこの分野です。
自分が交渉している相手の会社の規模、販売方法によっても、営業マンの気質の現れ方、発生するトラブルの内容もいろいろですが、ざくっと言えば、注文建築よりも建築条件付きの方がトラブルは多く。会社規模が小さくなるほどトラブルも増える傾向にあります。
特に個人商店的な小さな会社は、個人の資質そのものが仕事に大きく左右されます。