工事と債務不履行

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第415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することが出来る。債務者の責めに帰すべき事由によって履行することが出来なくなったときも同様とする。

民法第415条の債務不履行に対する賠償請求権は、不良工事、欠陥工事、手抜き工事、瑕疵責任全てに通じる極めて強力な民法規定の一つです。
ここでは、建築主の注文通りの建物を建てる義務を負っている債務者である建築会社が、仕事が不完全であったり、注文とは異なる仕事であったときには、その損害を賠償する責任を負う。という意味のことを書いています。
また、この債務不履行には、次の3つの事を対象としています。

不完全履行
注文したものと違うものが出来た、といった場合
●土台が指定していたものと違う
あなたが、建物の土台をヒバ材で指定していたと仮定したとき、建築会社がヒバ材の土台を使っていなければ債務の不完全履行となります。
違法な工事
●建築基準法などに適合しない違法な工事があったとき、これは、注文したかどうかにかかわらず、法規不適合として債務不履行の対象となります。
この時同時に次項の『不法行為』の対象にもなります。
遅延履行
約束の期日に完成できなかった場合
●工期が遅れた
あなたの理由ではなく、建築会社の事情によって工事が遅れた場合、あなたは建築会社にその期間の損害を賠償してもらう事が出来ます。しかし、あなたがいつまでも材料を決めなかったり、都度の設計変更を繰り返すなど、あなたの事情によって遅れた場合は請求できません。
債務不能
いつまでたっても完成しないことが明白である場合
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高断熱・高気密宣伝の落とし穴

今までのサポートサービスのご相談の中で高断熱・高気密に対する誤解で生じた契約トラブルが何件かあります。そのほとんどは高断熱・高気密という宣伝文句だけを信じ、建築主の人が、高断熱・高気密とは次世代省エネルギーレベル程度の断熱気密性能を当然有しているものだと錯覚して契約し、エアコンの効きなどから実際に住んでみて初めて、そのレベルの断熱性能でないことが分かったというケースがあります。
高断熱・高気密という言葉は、それだけで非常に優れた性能を持っているように錯覚しがちですが、断熱や気密性能には幅があり、標準的な公庫・省エネルギーレベルを少し上回った程度の断熱性能を高断熱と称したり、次世代省エネルギーレベルに少し届かないが、それも高断熱住宅と称する場合もあります。
このように幅のある性能や能力を契約する場合は、明確な数値やレベルなどをはっきりと契約書にうたわない限り、契約してしまった者の負けとなってしまいます

口約束は絶対ダメ!!

契約とは、双方がある約束を履行するために結ぶものです。また、契約は口頭でも有効です。でも、口頭の約束は聞き間違いや忘れてしまう、といった事も十分に考えられるため、重要な約束事、あるいはあなたが是非守って欲しい約束事は、必ず文章で残したり、図面の中に記載してもらうなど、あなた自身が証拠として保全できる対策を講じておく必要があります。
あの人は信用できるから・・といった安易な過信は大けがのもととなります。
そして、実際に出来たものが当初の約束と違っていても、証拠がなければあなたはそれ以上抗弁できませんし、裁判でも勝つことはできません。

イメージと違う!!は、できません

完成されたものがイメージと違う。というトラブルは昔からありますが、頭の中で描いたイメージと現物が違うからといって、設計者から説明をうけてスタートしてものであれば、単にイメージが違うと言うだけで債務不履行に問うことはできませんょ。

請負契約の重要性
契約とは約束事。約束事は明確に!
石橋を叩いて証拠を残せ。それが契約の大原則です。

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