注:この基準は、現在使用されていません。旧基準です。
建物の床面積1m2当たりのすきま面積。
延床面積120m2の建物のすきま相当面積は、C値2.0の場合、建物全体で240cm2存在すると言うことです。
C値が小さいほど気密性は高くなります。
なぜ、C値が生まれたのか?
この指標は、昭和55年、エネルギー使用の合理化に関する法律に基づき、「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主判断の基準」という法律がベースとなり、公庫融資に代表される、省エネルギー仕様や次世代省エネルギー仕様の断熱基準が作られ、その中の気密性能の確保を目的として制定されました。
もちろん、どのような断熱性能を求めるかは、建築主の自由裁量に任されていますが、判断の指針となるのが、公庫の省エネルギー仕様や、次世代省エネルギー仕様と呼ばれる断熱性能です。
気密性能の実態
この法律が施行された後、研究機関や研究者の報告では、次のような実態があります。
既存建物の実際
左の図は、実際に既存の建物の気密測定を行った結果を示しています。
やはり、古い建物ほど気密性能は悪く、RC造の集合住宅でも、5.0程度の低い性能しか持っていない建物もあります。
気密化工事の実測値
左の図は、1995年当時に気密化工事を行った建物を実際に気密測定を行ったものです。全体で48戸の住宅を測定しています。
在来工法ほど、C値のばらつきが大きく、パネル化工法や外断熱工法は安定しています。
また、2x4工法もばらつきはありますが、測定結果の中心域は2.0を下回っています。
在来工法ならば、パネル化工法がお勧め、2x4工法ならば、比較的安定して性能が確保でき、外断熱工法はバッチリ、といった感じですね。
地域によって異なる性能要求
気密性能は、地域によって要求度合いが異なっています。
北海道、青森県、秋田県、岩手県地方では、C値が2.0以下となる住宅を気密住宅と規定しています。
また、それ以外の地域では、C値が5.0以下の住宅を気密住宅としています。
注:実際は都道府県単位ではなく、市町村単位で決められています。
工法の違い
地域によって、要求されている気密度合いが異なるため、気密化工事の方法も微妙に異なっています。
代表的な工法は、気密シートを床、壁、天井に貼る方法ですが、細かな部分では、サッシやコンセント部分は、切りっぱなしでも良い地域と、気密テープを張る必要のある地域。
あるいは、合板だけで床の気密がとれるとされている地域と、気密シートをはる必要のある地域等々、求めるC値の値によって施工方法は異なります。
下図は、C値2.0~5.0程度の場合に想定されている工法です。
また、パネル化工法は、構造用合板と発泡系断熱材が一体化したものを気密パッキン、あるいは気密シートで施工するなど、開発メーカー固有の気密化仕様を定めています。
気密性能の劣化
性能に季節変動有り
気密性能は、同じ建物でも、季節によって気密性能に変化があるようです。
(財)住宅・建築 省エネルギー機構の資料では、夏の方が気密度合いは高く、冬の方が低いという報告を載せています。その差は、10~30%程度のようです。
そのため、気密測定を行う季節によっても測定値にばらつきが発生します。
2年程度で、性能低下後安定する
また、気密性能は、新築後1~2年後に、当初の性能の10~30%程度低下し、その後は安定する、という研究報告を載せています。この原因は、木材の乾燥収縮にあるようです。