小屋裏換気とはなにか。
小屋裏換気の意味がよくわからなかったり、小屋裏収納の換気と勘違いをしている人がいますので、このページでは、小屋裏換気とは何かを説明しています。
外断熱、屋根断熱
小屋裏換気は、外断熱あるいは屋根断熱と言われる屋根面に直接断熱材を入れる断熱工法の場合は関係ありません。(不要)
下図のように、屋根ではなく、天井面に断熱材を敷き込む内断熱の方法の場合に必要になります。
あくまで自然換気
小屋裏換気ということで、なにか換気扇のような機械を利用するように錯覚しがちですが、機械は使わず、換気口を設けて、自然換気を行います。
夏の小屋裏(屋根裏)は、酷暑
小屋裏というより、屋根裏という方がなじみやすいと思いますが、要は屋根の直下、屋根の下の部屋と屋根の間の部分ですが、この小屋裏あるいは屋根裏という部分は、夏には大変な暑さになっています。
右の写真は、屋根裏の温度をサーモグラフィ装置で撮影したものですが。夏の屋根裏は暑いときには60℃近くに達しています。
注:赤色が60度を超えている部分
(福岡大学・須貝研究室)
60度という温度は、物がカラカラに乾く温度ですね。屋根裏はこのような過酷な環境にあります。そのため、木材はカラカラに乾燥し、木材の中の必要な水分までも乾燥していまい、木材の耐久性という点ではもっとも劣悪な環境にあります。
また、これだけ暑い気温になるといくら天井に断熱材を敷き込んでもやはり断熱効果は少なくなってしまいます。そのため、小屋裏(屋根裏)部分を適度に換気するということは、木造の建物にとって耐久性を高めるという点では非常に大きな役割をもっています。
空気を入れ換える
このように太陽にもっとも近く、何もしなくても必然的に暑くなってしまう小屋裏(屋根裏)に外気を入れて換気をし、少しでも暑くならないようにするのが小屋裏換気の目的です。
機械は用いず、空気の温度差や気圧差などで自然換気を行っています。
フラット35融資を受ける場合は、必須仕様で、性能表示の劣化の低減では等級2以上を取得する場合に必要な対策です。
よくある誤解
法規必須事項ではない
小屋裏換気は、法規必須事項ではありません。付けるも任意。付けないも任意です。しかし、フラット35の融資では必須となっていますし、少なくとも過半の住宅は小屋裏換気を設けています。
・小屋裏収納の換気
よくある勘違いで、小屋裏収納の換気と、小屋裏換気を勘違いする人がいますが、小屋裏換気とは、上のページの説明のように、あくまでも屋根裏の換気です。
小屋裏がとれない住宅と断熱対策
都市部の3階建て住宅などでは、少しでも室内空間を確保するために下図のような小屋裏を設けない建物が多くなっています。
しかし、小屋裏が無い分、夏の暑さには大きな違いがあります。
はっきり言えば、直接勾配天井がある室内は、小屋裏のある室内の倍ぐらい暑さを感じると入っても過言ではありません。指定されている断熱材の倍ぐらいの厚みの断熱材をいれるか、遮熱断熱を検討する必要があります。
お寺などの大きな屋根の下がなぜ涼しいのか。それは、風通しの良い広い空間と、大きな大きな屋根裏空間のおかげですよ。
注:平成28年基準の断熱性能を確保した屋根断熱でも、断熱材の厚みが100㎜前後の場合は、その倍程度の厚みがないと夏は暑いです。
小屋裏換気の方法
小屋裏換気には、下の図のように4つの方法があります。
1.外壁の妻面(つまめん)に換気ガラリを設ける方法。
屋根面積の1/300以上の換気口を設けます。切り妻形状の屋根に用いられています。
2.軒下換気と妻面の併用。
軒下、妻面ともそれぞれ屋根面積の1/900以上の換気口が必要になります。
3.軒下換気のみの方法。
屋根面積の1/250以上の換気量を設けます。寄せ棟の屋根で多用されており、有孔ボードをはる方法。換気口を付ける方法。スレンダー換気口という軒下に連続した換気金物をつける方法があります。
4.軒下換気と棟換気の併用。
カラーベストの屋根に多いですが、瓦屋根用の棟換気金物も市販されています。ただし、瓦の形状に合わない棟換気金物を無理に取り付けると漏水の元になります。
注:換気量は使う金物によって変わっています。確実な換気量を計画したい場合は、換気金物のそれぞれの換気量を確かめましょう。