軒の出の無い建物と外壁通気

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軒の出のない建物

最近軒の出のない建物が増えています。狭隘地に建つ建物や3階建ての建物に非常に多いです。その理由は、建物と敷地境界線との距離がないためにやむなく軒の出が作れない、というものと、デザイン的に軒の出をあまり出したくないという2つの理由があります。

外壁通気が必要

ところが、サイディング(窯業系サイディング、金属サイディングを含む)を使った建物では、「かし保険」の仕様として「外壁通気工法」で施工しなければならないと決められています。
注:ALC、パワーボードや外壁モルタルの場合は、必ずしも「外壁通気工法」で施工する必要はありません。

守られていない外壁通気

しかし、往々にして、この「外壁通気工法」での施工が守られていない建物、特に、軒先の通気口が設けられていない建物が多く見受けられます。

無知から来るもの

その理由の多くは、「外壁通気工法」というものの本来的な仕組みを知らなかったり、軒の出が短いときのために使う部材があることを知らないために、何もしなかったというケースがほとんどです。

チェックポイント

自分の建物がサイディングなどを使った建物で、軒の出が短い場合は、必ず「外壁通気の最終的な出口はどうなっているのか」「軒先通気口はキチンと付いているのか」を質問してチェックをしておきましょう。

右の段では、短い軒の出で通気口を設ける例を紹介しています。

外壁通気とは

外壁通気をおさらいすると、下の図のように、土台などから空気を取り入れ、通気層というところを空気が流れる時に、壁内の湿気などが排出され、最後は屋根の棟換気または軒裏換気口などから空気が排出されます。

空気排出の方法

ところ上図右側のように棟換気口まで通気層の空気が流れる構造であれば良いのですが、この方法は、切り妻あるいは片流れといううもっとも簡単な屋根形状でなければ棟換気口までのルートは確保できません。

そうでない場合は短い軒先の部分で外壁通気層の空気を排出してやる必要があります。そうしなければ「外壁通気工法」は完成しません。
ところが、このことを知らない、あるいはしようとしていない建物も多いのです。

・軒先が短いときに採用できる方法には下の2つあります。

イーブツベンツを使った方法

(例:日本住環境株式会社-準防火地域以外)
この方法は蜂の巣のように穴のあいた樹脂製の通気材を細い軒の出に入れて空気の排出口を確保する方法です。

浅い軒先用の軒先換気口を使った方法

(例:城東テクノ-準防火対応可)
この方法は、樹脂製の換気口を細い軒の出に入れて空気の排出口を確保する方法で、下の例は城東テクノという会社から出ている製品を例として使っていますが、他社からもいろいろ出ています。

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