壁は多いほど強い(雑壁余力効果)

建物が地震に対抗できるのは、『耐力壁』があるからだ。 他のサイトでも、全く同じことが書かれていると思います。
それはそれで正解なのですが、本当の建物の耐震性は別の要素も含まれているんですね。
それは壁は多いほど耐震性に余裕が生まれる・・という雑壁効果なのです。

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耐力壁と雑壁

住宅業界では、筋交いなどに代表される地震に抵抗できる壁を耐力壁と呼んでいます。
そして、それ以外の筋交いなどが入っていない壁を『雑壁』と呼んで区別しています。
また、耐震性を計算するときは、『耐力壁』しか計算に含めないのですが、実は『雑壁』と言われる耐震性の計算に入れていない壁も、一定の強さ(耐震上の強度)をもっているのです。

下の図は、筋交いの強さを2.0としたときの、サイディングやモルタルの強さと、室内に使われる石膏ボードの強さです。壁の仕上げ材で圧倒的シェアをとっているのがサイディングとモルタルですが、どちらも約0.8程度の強さを持っていますし、軸組工法の石膏ボードはまず耐力壁として使用しませんが、それでも何気なく張っても、約0.6程度の強さを兼ね備えています。

つまり、雑壁であっても、あるいは単なる内外装材であっても、計算には入れていないが、それでも多少は地震に寄与出来る強さを持っているのです。
そして、一般的には、この内外装による耐震余力は、耐力壁としてその住宅に作られる強さ(耐震性)の2割程度を底上げする余力が、平均的に備わっているそうです。

壁は多い方が余力有り

ところが、外壁仕上げなどは、どんな家でも共通に持っている余力ですからが、余力と言われても、それぞれの家で大きな余力の違いがあるわけではありません。でも耐力壁でない壁-雑壁-と言われている壁が多いほど、それが少ない家よりも耐震余力は高くなるのです。
一番の下の図は軸組工法の8畳の部屋のそれそべの壁の耐力壁を配置しました。(赤い色の壁です) ところが、耐力壁以外の壁は雑壁(緑色の壁)ですが、この壁も一定の強さを備えているので、こういった雑壁が多いほど、その家の耐震余力は高くなるのです。

壁は多い方が良い

・・・それは、耐力壁として使う、使わないにかかわらず、一定の強度があるために、余力分として-計算外余力として-耐震性に影ながら大きく寄与しているのですね。

おさらい

耐力壁以外の内外装材にも、耐震性の計算にこそ入れないが、一定の強さを兼ね備えている。
でも内外装のもつ強さは、どの住宅でも共通して持っています。
ところが、 耐力壁でない雑壁も、一定の強さを備えているため、「計算外の余力」として耐震性に寄与している。
だから、本当は、壁は多い方が地震には安心だよ・・・。 というお話です。

注:この余力は、建物が傾くかどうかと言った耐震性の根源に関わる強度なのではなく-それは基本的な耐震性の計算でチェックされますね-たとえば、同じ地震を受けても、クラックが入りにくいといった地震を受けた後の補修の程度を左右するような強さ(余力)だと考えるとわかりやすいかもしれません。

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