シュークリーム地盤??
3階建てですが、トラックが通ると揺れる。というお電話をいただきました。
図面を送って頂きましたが、構造的に特に気になるような部分はなく、施工不良を疑いましたが、ちょうど同じ頃、この方は、売り主にも連絡しており、売り主も原因はわからないが、念のため、建物の主要部分を補強しましょう。ということになっていました。
幸い、その補強工事の時に、現場を見ましょう。ということになり、部分的に開けられた壁から、建物の構造部分を見てみましたが、特に問題施工がされた形跡はない。という状態でした。
でも、検証のため、実際に建物の3階のベッドで横になっていると、トラックが通ると、確かにベッドが一定の方角にふわふわとした揺れを感じます。
建物の構造は問題ない。工事に問題は見あたらない。地盤と地耐力の関係も問題がない。となると・・・・
ある仮説を立ててみました。
この地盤は、数メートル下には堅い地盤、その上はやや柔らかい地盤。そして、一番上は堅い地盤になっています。
注:地盤補強が必要なほどの柔らかさではありません。表層数十センチが極めて堅く、そこから2~3m部分が3階建てのべた基礎でぎりぎり可能に近い地耐力。そしてその下が堅い地盤となっています。つまり、中間層は軟弱地盤とは言えないが、堅地盤ではない。どちらかというと軟らかい地盤。そして、上下に極めて堅い地盤に挟まれている。
ということは、シュークリームの状態かな??
つまり、表面が堅く、真ん中がやや柔らかいシュークリームのような地層のため、重たい荷物を積んだトラックの振動が表面の堅い地盤に伝わり、下が柔らかい地盤のために、表面の地盤が振動を伝えているのではないか。。。。。
ちょうど、その前後に大阪ドームで観客が曲に併せて縦のりジャンプなどをすると近くのマンションに振動が伝わる、という報道がなされていた頃であったと思います。
記事抜粋:大阪市西区の大阪ドーム周辺のマンションなどで地震でもないのに震度1―3程度の振動が起きている。同ドームで開催される大きなコンサートで、観客が曲に合わせて一斉に跳躍する「縦ノリジャンプ」が原因であることが大阪市などの調査で判明した。縦ノリの周期(2HZ~3HZ)と建設地周辺の地盤の固有周期とさらに建物の固有周期が一致したことが要因のようである。
( テノックスコラムより引用)(詳細記事:日経アーキテクチュア2003 5-26号 )
建物自体は問題ないため、堅い地盤の下が柔らかい。トラックの振動は堅い表面の地盤が波打って振動を周りに伝える。という仮説以外には考えられない状態でした。
依頼主の方には、シュークリーム形状の地盤を原因とする共振が原因ではないか、と説明しましたが、今もって正確な原因は不明です。
建物と地盤の関係はまだまだわからない部分がいっぱいあります。
その仮説が正しいことを祈っています・・・・
追記:この建物では、売り主さんの自主的な判断として、原因はわからないものの、可能な範囲での筋交いの追加、耐震ロットという上下階をワイヤーで繋ぐ工事などを無償でされていました。
いろいろあります。はい!?