べた基礎であるべきものが、鉄筋まで地面にべたに置かれていた事件。
事件の概要
- 九州地方
- 2X4工法、2階建て賃貸用住宅
この方は、工事着工前の投資用2X4工法の賃貸アパートを購入され、工事現場をのぞくと、基礎の工事途中で、べた基礎の鉄筋がそのまま地面に置かれ、コンクリートを打設しようとしていました。
本来、鉄筋は鉄筋コンクリートとして、コンクリートと鉄筋の一体化のため、また、中性化による鉄筋の錆を防ぐために、ある一定の距離を地面や型枠から離してくみ上げる必要があります。
この距離の事を『かぶり厚』と呼んでいます。
しかし、この現場では
・建築基準法では、底版部分は6cmのかぶり厚が必要
・ 建築基準法では、主筋は直径12mm以上の異形鉄筋を使わなければならない
・ 主筋は立ち上がりの上下に必要
・ 建築 基準法では、べた基礎の場合、12cm以上の根入れ深さが必要
という著しい建築基準法違反の配筋でした。
対処
最初から手抜き工事を意図した明らかな欠陥工事を進めようとしていました。
幸い、サポートサービスのおかげで事前に配筋基準を知っていたため、おかしいと気づき、この方は販売業者と折衝の結果、売買契約は白紙撤回になりました。
この例などは、ローコストで建てる賃貸物件のいい加減な施工実態を垣間見る良い機会でしたが、同じような物件が2~3棟は同時に建てられています。それを知らずに購入した人は、何も知らずに賃貸物件として利用しているのでしょうね。
見かけは立派、住宅設備に良いものを入れる傾向があるのは建売系や分譲系、賃貸など、それはどんな建物でも同じです。
わからない部分で徹底的に手を抜く。安くしなければ賃貸として収益が上がらない。その結果、下請けを徹底的に叩き、手抜き欠陥工事も見て見ぬふりの販売業者の怖~い一面です。
注:地耐力70kN/m2以上で不同沈下の恐れのない地盤では、無筋のコンクリート基礎とすることが出来ます。(建築基準法、告示第1347号)