平成12年に改正された建築基準法では、地盤の強さ(地耐力)によってべた基礎にするか、布基礎でよいかなどが規定されています。また、杭工事が必要であるかなどの地盤補強の検討の目安も規定されています。
地盤調査をしなさいとは書かれていないものの、地盤調査をしない限り土の持つ地耐力は判りませんので、地盤調査は法律上、義務づけられていると考えて差し支えありません。
地盤調査は建物の四隅と中央
住宅の基礎が乗る表層地盤と言われる地表面近くの土は、歴史の浅い土であるため見かけは同じでも、その敷地の全てが均一な強さの土であることはほとんどありません。
また、住宅は軽いので表層地盤で支えるため、比較的弱い地層である場合が多いです。 地盤改良をした、杭を打ったという話はあっても、『私の土地は岩盤だ。基礎を造るときは大変だったよ』なんて話は聞きませんね。
そのため、地盤調査は土の中の地盤の傾向をつかむ意味で、建物の中央と四隅の地盤調査をするのは必須です。
既存住宅がある場合
既存住宅の建て替えや中古住宅付きで土地を買った場合などは、上の図のように自分が計画している建物の四隅や中央に地盤調査をすることができません。でも、地盤調査は1回5万円以下と、安くなっています。
周囲が1m程度の空間があれば地盤調査は可能ですから、どうも軟弱地盤かも知れないな、と疑われるような場合は、工事契約前に地盤調査をしてもらい、地盤補強が必要かどうかを調べて、予算上の担保をしておいた方が良い場合もあります。
分譲宅地
ある一定の区画を一斉に開発するような分譲地では、全ての建物の地盤調査を行うのではなく、全体として地盤調査を行い、その土地全体の地盤の傾向を調査して個々の地盤調査を省略する場合もありますが、目的は、敷地の地盤の強弱の傾向をつかむことですから、このような土地では必ずしも、全ての宅地で地盤調査を行う必要はありません。
ただ、盛り土、切り土の入り交じっている造成地などでは、必ず各敷地(区画)ごとに地盤調査が必要です。
地中の世界
下の図は、一般建築や鉄筋コンクリート造の建物などで使われるボーリング式地盤調査書の一例ですが、いろいろな種類の地質(ちしつ)が複雑に重なり合い、そして、それぞれの地耐力も千差万別というのがよくわかると思います。 土の中の世界は、地盤調査をしない限りなかなかわかるものではありません。
ボーリング式地盤調査書の例
N値とは
N値という言葉を聞いたことがあるかも知れませんが、この地盤調査で調べられたそれぞれの深さの土の強度を表したものがN値と呼ばれ、その土が1m2当たり、どのぐらいの強さを持っているかを表しています。 正確にはN値=地耐力ではありませんが、N値の80%程度が地耐力と考えて差し支えありません。
ただ、住宅では、建物が軽いためあまりN値自体は大きなな意味は持ちません。単なる知識程度に覚えておきましょう。
もっと大事なのは自沈層・・・です。
いよいよ、地盤調査書の見方を次項でマスターしましょう。