柱状改良杭は有効か?

液状化する地盤は弱い地盤が多く、基本的には地盤補強が必要です。

そして住宅の地盤補強でもっとも多く使われているのが柱状改良杭と言われるものです。
これ以外には鋼管杭も使われますが、使用されている例は圧倒的に少ないです。

では、柱状改良杭は液状化にどの程度の効果があるのでしょうか。

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ロッキング現象

液状化と柱条改良杭地震は地盤を伝わって来ます。基本的に固い地盤によって伝わります。
液状化地盤では、下にある強固な地盤が地震で揺さぶられると同時に、柱状改良杭も、ゆさゆさと揺さぶられます。勿論、その揺れを私たちは地震の揺れとして感じています。

そのとき、柱状改良杭は、ちょうど道路のカーブや下り坂で注意を促すように道路の路面に作られた凸凹模様を通ると、自動車が否が応でも「ガタガタ・ゆさゆさ」揺さぶられるのと同じような状態になっています。 これをロッキング現象と言います。
現象的には、杭が浮き上がったり、回転がかかったりします。

しかし、杭それぞれの浮き具合や回転具合が違うと、建物もその影響を受け不同沈下が起こりやすくなってしまいます

そのため、ロッキングが抑制できる杭配置にしておくことが望ましく、ロッキングを抑制できれば液状化抑止効果は向上するが、ロッキングを拘束できないと、液状化の抑止効果は極端に低下する。と言われています。

ロッキングに強い杭配置

では、ロッキングに強い杭配置はどういうものかというと、一番強いのは「格子状に配置された杭」。次が「連続して打ち込んだ長壁状の配置」一番弱いのは「杭それぞれが単独で配置された形式」です。
(以上、建築基礎の地盤改良設計指針案:日本建築学会より引用)上の2つは、大型建築物などで良く行われている方法ですが、住宅では、単独の杭が並ぶ「杭形式」と言われる方法しか行われていません。つまり、同じ柱状改良杭でも、住宅で行われている杭配置はロッキング現象に一番弱いのです。どうしてこうなるかというと、大型建築物で格子状や壁形式の配置が多いのは、柱状改良杭一本一本がもつ支持力が、他の杭に比べて少ないため、数多くの杭が必要となり、結果として格子状や長壁形式の杭配置が取りやすく、住宅の場合は単に建物の重さを支えるだけなら、この図の半分程度の杭本数ですむが、基礎のたわみ等との関係から、おおむね2.25m程度に一本配置するという右図の程度の本数を配置するという結果になっています。

格子状配置にすると

ところが、この程度の杭でも深さにより変わりますが、平均的には80~100万円程度の杭工事費がかかってしまいますが、これを格子状配置にでもしようものなら少なくとも、300~400万円以上はかかってしまうでしょう。
起こるか起こらないかわからない液状化対策に誰もそこまではしないでしょうね。

結局、住宅では柱状改良杭を使っていますが、液状化の抑止効果は期待できません。つまり、ロッキング現象が起きやすく、そのロッキング現象が杭ごとに違う(浮きや回転の違い)とむしろ不同沈下の原因になってしまいます。

ロッキング現象は液状化する地層が厚いほどなりやすく、その地層が薄いほどなりにくいです。そのため、今日の話はほとんど埋立地の液状化についての問題と考えられた方が良いです。 各地のハザードマップで書かれている液状化地域の中で、埋立地でなく、自然の堆積層によって液状化が起こりやすい、とされている地域の多くは、それほど液状化する層が厚くないですから、あまり今回の話を真剣に注意する必要は無いと思います。

結論

ざっとした結論を考えてみると、埋立地などで見られる杭全長の多くの部分が液状化層にある場合は、柱状改良杭では液状化抑止効果は無く、埋立地でない自然堆積による杭全長の少ない部分でしか液状化層が無い場合は、ロッキング現象も起こりにくいと言えます。

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