発泡ウレタン断熱の盲点

私はずっと、発泡ウレタンという断熱材は、とってもいい断熱材と思っていましたが、ある事件を契機に見方が大きく変わりました。
その前にウレタン断熱の良いところを見てみましょう。

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メリット-1 発泡ウレタンは専門施工

右の写真Aのように、外壁や屋根に「ウレタン」を吹き付けます。白っぽく写っているのが発泡ウレタンで、柱と梁以外は全て吹き付けられていますね。
吹きつけると同時に、元の原材料から数倍に膨らんでいくので、ずっと一箇所に拭いていると、どんどん厚みが増してきます。そのため均等に吹くには、それなりの経験が必要です。
ですから、グラスウールやロックウールのように大工なら誰でも扱える・・といった材料ではなく、発泡ウレタン専門の施工業者が施工します。

メリット-2 発泡ウレタンに施工ムラはない

グラスウールやロックウールなどは、いわば布団と同じなので、施工する職人の丁重さによって仕事のできが異なります。写真Bが一例ですが、大工により断熱材の継ぎ目で隙間ができたり、柱と断熱材の間に隙間が生じる・・といった事はよくあります。

メリット-3 気密性が高い

また、発泡ウレタンは、壁や屋根の下地にぴったりと密着します。これを自己接着性と言いますが、そのおかげで隙間などできません。厚みも後で薄い、と言われてたくないのでしょう。どちらかというと指定された厚みよりも厚く吹かれる場合がほとんどで、発注者にとっては案外、ラッキーな断熱材です。

発泡ウレタンの密着性が裏目にでる

それが、「雨漏りに気づかない」という問題なのです。

密着が高いために雨が留まり、気づかずに木材腐朽が進む

通常、雨漏りは壁の中を雨が伝い、どこからか室内に漏水してくることで雨漏りとわかります。
ところが、発泡ウレタンが吹かれ場所に雨漏りをすると、発泡ウレタンが合板などに密着しているために、浸入した雨がそこにとどまってしまう。
その結果、その部分の木材や合板は雨が降るたびに雨水が浸入し続け、かつ、滞留し続け、その部分の木材だけ腐っていくのです。
そして、腐った部分が広がることで、少しずつ隙間が増え、少しずつ雨漏りが広がり、やっと室内に異変が生じた頃には、柱も梁も大きく腐っていた・・ということになりやすいのです
グラスウールなどの断熱材の場合は、壁内に雨が入っても、「隙間から」スッーと下に落ち、落ちる過程であちこちに流れるので異変に気づきやすく、入った雨も「隙間から」落ちていくので、柱や梁が交換しなければならないほど腐ることはまずありません。

しかし、発泡ウレタン断熱の場合は、
一旦雨漏りが発生すると密着性が邪魔をして、雨漏りの発見が非常に遅れる。
一箇所に雨が滞留してしまうので、柱や梁を交換せざるを得ないほど腐朽が進んでしまっていることもある。
それが発泡ウレタンの弱点ですね。

MEMO 外断熱や屋根断熱も似たようなリスクがあります。
外断熱や屋根断熱をしていると、雨漏りに気がつきにくいリスクがあります
発泡ウレタンと異なり、断熱材と木材の密着性は少ないですが、材料が重なることで滞留が起きやすくなり、雨漏りの発見も遅れるリスクがあります。
ただ、木材腐朽は密着度の高い発泡ウレタンほど深刻ではありませんが、滞留範囲に広がり、木材腐朽では無く下地材の腐朽が広範囲に及ぶ場合があります。
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