飛び込んできた客をつかんで離さない。と書けば怖い話ですが、どんな営業マンであれ、その客がよほどタチの悪い相手でもない限りなんとか成約させたいと思うのは、「狩猟本能」をもった営業マンの本能でしょう。
でも、営業マン全てが豊富な、そして、確実な商品知識を持っているとは限りません。特に建売系などは営業マンと言っても『歩合制給与』の比率が高く、高い給与を求めていろんな販売会社を渡り歩いている営業マンもいます。
あるいは、住宅供給が品薄な地域では、あるいはローコストだけで受徴しているような会社では、商品知識など無くても仕事が回ります。
こんな言葉は要チェック?
大丈夫です
どんな理由で大丈夫なのか説明無しにとにかくひと言「大丈夫です問題ありません。」
ボキャブラリーの極めて少ない営業マン、現場監督に多い言葉です。とにかく自分では説明出来ないから、「とにかく理由はわかんねえけど今までこれで大丈夫だったんだよ~。うるせえこと聞かないでくれよ~」という本音が隠されています。住宅の現場で大変よく聞くフレーズです。
費用の無駄です
これも多いです。
「性能表示制度?そんなのするだけムダですよ。」
「断熱材の厚みを増す?そんなのこの地域ではこれで十分。やっても費用の無駄遣いですよ」
「建築確認通っているんだから耐震性は問題ないです」
これ。最も多い3大否定句なんですが、自分に知識が全くない話をこれ以上進めさせないためには、「費用がムダだ」という相手の金銭感覚に訴えるのが一番と思っている無知識営業マン、設計者がわんさといます。(注:最後の建築確認・・という説明は権威を利用した口説きのテクニックです。このお話は次ページに)
「うるさいこと言わないでくれよ~。おらぁそんな知識ねえよぉ。うるさいこと言わずにさっさと契約してくれよ~」という本音が隠されています。
あなたがこの言葉を聞いたら、『フフ~ン。相手に知識はないんだ。邪魔臭がっているんだ』と考えると良いでしょうね。
その言葉の背景
なぜこんな事を言うのか。
この原因の多くは、「経験があるか。ないか」の違いです。
それでお客様が納得されるなら・・【お客様思考】
性能表示制度の申請や手続きを経験したりして対応が分かっている会社にとっては、「性能表示を使ってお客様が納得されるなら、それはそれでよい。どっちみち手続き費用や申請費用の20万円前後は、お客さまが負担されるのだし、自社の負担になるわけではない」という理由から、性能表示に対しても抵抗感をしめすことはあまりありません。
ドタバタ劇は見せたくない・・【自分中心思考】
ところが、これが性能表示制度を一度も経験していなかったり、昔一度だけ渋々やったことはあるが、始めてだったので大変時間がかかった・・といった苦い経験があると、ついつい二の足を踏んでしまいます。
自分たちがやったことが無いのですから、どの程度の時間で出来るとも、どの程度の費用で出来るとも確証が持てない。確証が持てないことは、「え~い。面倒だ!!」「そんな事をしても費用はムダだ~」と言ってしまえ。。。となってしまうんですね。
不利な事情は見せたくない・・【自己防衛思考】
だって、「弊社は性能表示はしたことがありません。チョット手間取ってお見苦しいところをお見せするかも知れませんが、それでもよろしいでしょうか」なんて、さぁ、これから契約していこうかと考えている顧客で言えますか?
という辺りが、否定的な話をする最たる理由でしょうね。
知らない。興味ない。
さて、もう一つの「断熱材の厚み変更なんか不要」と返事するのほとんどは、「断熱材を厚くしたら快適だった・・」という成功体験が全くない。と言うことに尽きるでしょう。あるいは「断熱・省エネ」というものに全く興味がない。といったタイプの人かも知れません。
昔気質すぎる注文住宅専門の一人親方に多いですね。
明快な理由の説明も無く、「それは必要ない」「それは無駄」といった否定的な返事を返してくるほとんどの場合は、その仕事に自信が無いか、経験がないかのいずれかです。
住宅会社だから。工務店だから。設計者だから・・といつた理由だけで、その相手が住宅に必要な基本的知識を必ず持っていると考えるのは間違いです。
医師に専門分野があるように。医師にも誤診がつきもののように。その仕事をしているから、その仕事の知識(あるいは経験)を持っていると限りません。
そして、その仕事をしているからこそ、「知りません」「経験がありません」とは言えないので、上のような説明で誤魔化そうとするのです。
相手はそういう背景から、そのような対応をしているのだと考えておきましょう。
交渉術で「知識不足を利用する」ケースと似ているものに「権威を利用する」という方法があります。 「これは国が保証していますから安心です」といってある権威を利用して安心感を植えつける。 「私は○○支店長をよく知っているので。」と[…]