言葉の裏を見抜け3:権威を利用し、性格を見る

交渉術で「知識不足を利用する」ケースと似ているものに「権威を利用する」という方法があります。

  • これは国が保証していますから安心です」といってある権威を利用して安心感を植えつける。
  • 私は○○支店長をよく知っているので。」といった手口で権威者の名前を口にして安心させる。

と言ったように、権威ある団体や個人の名前を口にして安心させる手口です。住宅の現場でも多く用いられています。

住宅現場で用いられる定番中の定番の2つのフレーズをご紹介しておきましょう。

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権威を利用する

建築確認を通っていますから。

建築確認が通っていれば(=お役所が見ているのだから)全部見てくれているのだ、と錯覚してしまいますが、そうではありません。耐震や断熱に関しては何もチェックしていませんが、役所がチェックすると言うだけて信じてしまいます。これも役所、お上という権威を利用した説明です。
(注:3階建てでは構造の審査はしています)

検査があります。

どの程度の検査がされるのかは全く関係なく、「検査」という言葉だけに反応して、「きっとキチンと見てくれているのだ」と勝手な解釈で納得してしまいます。上の例と同じほどよく聞く説明です。

工事が心配なので工事監理がキチンと出来ているのか問い合わせたところ、こんな返事を頂いた方がいました

検査につきましては、現在、○○市建築指導課のご担当者、並びに弊社の工事監督、以下関係者各位立会のもと、国土交通省の指導監督に準じまして行われます。この中に各種構造上の工事が適切に行われているかの確認も当然ながらございますので、ご安心下さい。また、上記検査ににおきましても不合格にならないように適切な管理の下、工事関係につきましては遂行しておりますのでご安心下さい。

権威を羅列し、適切な、といったお役所用語を振りかけた、まるで国会答弁のような返事だったので、思わず笑ってしまいましたが、このような権威を利用した説明が非常に多いのが住宅業界です。

権威を利用する・・言い換えれば権威を利用しなければ満足に説明出来ない、と考えた方が良いでしょう。

でもねぇ。日本人は権威にとっても弱い国民性を持っています。権威を振りかざされると、ついつい頭を下げて安心してしまいます。それは江戸時代から積み重ねられたある時代背景が原因のようなのですが・・・・。

性格を利用する

世の中には、いろいろな性格分析の本が売られています。血液型、十二支、星座といった占い系から始まり、ユング・クレッチマーに代表される心理学、はたまた人相学、色彩心理学、仕草表情と言った外観判断等々、巷では人間の判断術が溢れています。

それだけ、仕事でも、仲間同士の付き合いでも人間関係に悩んでいる人が多いのでしょうし、そういうものの助けを借りて人間関係を円滑にしていきたいと考えていることの表れでしょう。

営業マンであれば、必ず一度は心理学なり、そういった分野の本を読んでいるのでしょうね。

今回はもっとも簡単なクレッチマーの性格分析をご紹介。3つのタイプしかありません。

知能系

社交べた、神経質で鈍感、きまじめで頑固、懐疑的

このタイプのひとは、まじめであるだけに冗談を言ったり軽々しい態度は嫌悪感を表すので、真っ正面から誠実な態度で臨み、一つ一つキチンと理論的な正攻法の説明を行うといったステップが大事。

感情系

交的で快活、好奇心が強い、おしゃべり、活動的

このタイプは明るく陽気にリズミカルに話すこと。新しい情報の提供などが喜ばれる。ただし、ちゃらんぽらんな部分もあるのでアポイントをすっかり忘れてしまうこともある。ハッタリ屋も多い。

本能系

考えが固定的、融通が利かない、理解が遅く、話が回りくどい。

このタイプは初対面の感じが大切で、話し方はYES話法が良い。会話の中でNOという否定後を使ったり、何となく反対を匂わせる話し方をしただけで自分が非難された気になり、急に激情する。

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私もいろんな人と接していますが、早々こんなものを見て仕事をしているわけではありませんので念のため。まして、人間の性格は複雑怪奇ですから、これほど単純ではありません。

でも、あなたの相手は、こういう事もチェックしながら、「フムフム。このタイプの人だから、こう責めていこう」なんて考えながらあなたと対峙しているかも知れませんよ。。

なぜなら、自分に合った方法で会話が進むと心地よく、相手を信頼していきます。その反対に自分に合わない方法でアプローチされても会話は弾みません。如何にスムーズに話を進行させていくか・・その人に応じた方法でアプローチするのは交渉の初歩の初歩だからですね。

ただし、相性は案外大事です!

建築主と営業マンの相性は意外と大事なんです。
住宅は完成まで長いです。

相性が悪いと、特に契約後にトラブルを起こしがちで、少しルーズな営業マンと几帳面な建築主との組み合わせの場合、契約するまでは我慢をしながらつきあえても、工事の完成までの長い期間に打合せの齟齬が続くと「不信感」がかえって強くなり、完成時には相手に対する不信感で一杯になっていた、というケースも時々見られます。

意外と建築主と営業マンの相性は大事なんですよ。

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