耐力壁の必要量を求める

難しそうな話は、今回でおしまいです。
さて、建物の重さから、その建物が受ける地震の力が計算できました。
単位はトンです。 前回の事例では3階建ての、各階の地震力の計算例をお見せしましたし、1階自体は、ややこしい計算無しで、とにかく重さに0.2か、0.25か、0.3をかければよいことも説明しました。

では、その地震にどうやって対抗するのか。 それは「耐力壁」で対抗するということはいろんな場面でお話ししましたが、どれだけの量を配置すればいいのでしょうか。

これは、実はものすごく簡単です。
下の図のように、地震力を耐力壁の量が上回ればよい。
そして、耐力壁は、『長さ1mの倍率1の耐力壁は、200kgの地震に抵抗できる』ということが決められています。(研究や実験で導き出された)
耐力壁の倍率も法律できめらています。
そうすると、あとは必要な長さを割り出して、それが地震力を上回れば良いだけです。  それを書いたのが下の図です。

実際の例で計算してみると、前ページのモデルは、幅4m、奥行き8mほどのかわいらしい3階建てを想定していたのですが、1階に加わる地震力は39.3kNすなわち、3.9トンです。 仮にたすき掛け筋交いを使うとすると、たすき掛け筋交いの倍率は法律で4と決められているので、幅91cm当たりの抵抗できる強さは、4x200x0.91=728kg/カ所ということになります。 後は、3.9トン(39.3kN)の地震に負けないカ所数だけ配置すればよいことになります。

構造計算。特に耐震設計って難しそう・・と思いがちですが、その原理は、実は本当に中学生レベルの、四則計算でも可能な、EXCELがあればあっという間に計算してくれる代物なのです。2.3階になると少し間に計算式が入りますが、こと1階に関しては、今までの説明の通りです。

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おさらいをしてみましょう。

  1. ひたすら建物の重さ(材料の重さ)を計算する   といっても、単位荷重の多くは示されているので、床や壁の数量を拾う方が大仕事
  2. 法律で決められている積雪荷重を加える。(2階または3階の床面積x60kg/m2)
  3. 雪が降る地域は雪の重さもいれる
  4. 全部の重さに、層せん断係数(0.2または0.25または0.3)をかけると1階の地震力が出る
  5. どんな耐力壁を使うか決める
  6. 耐力壁1カ所当たりの強さを計算する(91cmモジュールが多いので、上の例もそうしています)
  7. 地震力から耐力壁/カ所を割ると必要な箇所数が出る

それだけのことです。

理数系が強い人であれば、そして、その気になれば、誰でも自分の家の地震力を計算したり、必要な耐力壁の量を計算することが出来るのです。
注:使用する単位荷重が、自分の建物に合致しているか、多少の上積みが必要であるか、といったことはある程度の経験が必要ですが、それ以外は決められた係数を使った単純計算の繰り返しです。

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