2X4工法の耐震性の確保は、右の上から2番目の図のように、基本的には壁を耐力壁として使うことが出来ます。しかし、耐力壁とするには一定のルールがあり、ここでは、必ず耐力壁になるルールについて説明をしておきましょう。
そのルールは
- 釘は合板や石膏ボードの4周すべてに100mm間隔で打つ
- 合板や石膏ボードを継ぐ場合は受け材が必要という2点です。
そして、よほど特別な事情がない限り、外壁は外部側に構造用合板やダイライト、構造用パネル(OSB)やMDFといった雨にも強い材料が例外なく張られ、室内側は石膏ボードが張られる場合がほとんどです。
そして、内部の壁は、石膏ボードが両面張られています。
このとき、耐力壁となる外壁を例に取れば、右図のように、合板を使った場合は、合板の強さ(倍率3.0)と石膏ボードの強さ(倍率1.5)を足したものが外壁全体の強度として計算され、内部間仕切り壁の耐力壁は石膏ボードが両面あるので強度(倍率)が3.0として計算されています。(*1)
怖い実態
しかし、このサイトで行っているサポートサービスでも、外壁の合板はキチンと釘を打っているのに、室内側の石膏ボードは、石膏ボートの上下面の釘を打たなかったり、高い天井高の場合に、石膏ボードを継いでも、その継ぎ目に受け材を設けずに施工している例が1/3~1/4程度にものぼっています。
これでは、せっかくの高い耐震性も最低でも20%低下し、室内の間仕切り壁で石膏ボードだけで構成されている耐力壁が多くなるほど耐震性は低下し、ひどい場合は計画値の半分程度の耐震性しか期待できないことになってしまいます。
(*1)現在は、石膏ボードの強度(倍率)1.5が1.0に低減さています。
なぜこんなことが?
なぜ、このような事が行われているのか。これも軸組工法と同じです。
木造2階建ての建物では、建築確認を提出しても耐震性などはチェックされていません。中間検査に来ても、外壁の釘間隔はチェックされるが、内部は検査時期から外れているので、間違っていても誰からも指摘されない。
そして、中間検査で指摘されないから、その会社では、いつまで経っても、自分がやっていることが間違っていないという誤解を生じさせているのです。
あるいは図面では壁量計算書を作成して、キチンと耐力壁を図示しているのに、現場では検査がないために、本来しなければならないことを忘れてしまっている。
そしてその会社では、いつまで経っても、自分がやっていることが間違っていないと錯覚し続け工事を続けているのです。
問題解決のためにお伺いした住宅でも、年間100棟もの建売住宅を販売している比較的しっかりした会社ですら、このような状態で建物を完成させていた実態があります。 下の写真は、そのときの室内側石膏ボードの写真ですが、木造3階建てで耐力壁の配置も明確なのに石膏ボードの釘間隔は22cm程度だった。
壁量計算書をもらうこと。耐力壁となる壁の石膏ボードが所定の釘間隔で打たれていることは、2X4工法の定番の欠陥工事をふせぐ最大のポイントです。
また、3階建て住宅では、構造計算はされていますが、石膏ボードの釘間隔の不良はどこも検査していませんから、見過ごされやすい問題箇所です。
いるんですねぇ。まだまだ