ハウスメーカーを20社回って決めた建築主さん

まず最初にお断りです。タイトルに驚かないでください。
『ええっ。それだけ当たらないと良い会社に巡り会えないの~』と思われるも多いと思いますが、この20社も回ったのと言うのは、この方特有の事情によるものなので、20社という数値に振り回されないようにしてくださいね。

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連立方程式の3階建て!?(2011.01.31)

この方の事情を説明すると、

  • 3世帯同居である(3家族という方がぴったりとは思います)
    それも、1階はAさん、2階はBさんという単純な戸の分け方ではなく、1階と2階の一部がAさん。2階と3階の一部がBさん。Cさんは、3階と2階と1階と・・実に複雑な間取りです。
  • しかもインナーガレージ付き
  • 性能的には、耐震等級3で、長期優良住宅仕様であること。(結局、耐震性も、耐久性も断熱もトップレベルが必要)
  • もちろん、一定の予算があります。

まぁ。これを聞いただけで、並のハウスメーカーは尻込みをするでしょうし、3階建ての高性能住宅だけでも勘弁してよ~という会社も多いと思います。

私も最初に相談を受けたときは、2世代住宅はよくありますが、高性能住宅プラス、さらに3世代住宅なんて、ほとんど誰も経験していないですよ・・。と、私もどうなることやら、先に見えない思いでした。

3階建てならどうにでもなる。しかし、3世帯。しかも基本的な建物性能が、耐震も、耐久性も、断熱性もトップを目指せ・・・ですから、まさに連立方程式を解けと言われているようなものですね。

だからたぶん、20社も当たらなければならなかったのだと思います。
そして、サポートサービスの依頼をされたのは、4.5社に的を絞れた頃でした。

納得の評価、その1(2011.02.01)

とにかく20社も当たり、最後の一社に決めたこの方。
では、具体的には、どんな評価だったのでしょうか?
メールでは、次のように書かれています。

良いハウスメーカーに巡り会えました。契約から値引きをせず誰に対しても同じ価格を提供する会社でした。
他のハウスメーカーは数百万円値引きを提示してきましたが、値引き後の価格で比べても当方が選んだ会社の方がコストパフォーマンスが高かったです。そして、契約後の追加工事も良心的な価格でした。
もし、契約時に大きく値引きをする会社を選んでいたら、追加工事は高かったかもしれません。

契約後の追加工事に対しても良心的ということは、とっても大事なことですね。選んだことに対する自分自身の満足感、そして完成後の安心感にまでつながる話ですね。値引率だけで選んではいけないことがよくわかりますし、実は住宅の場合は値引率というのは、ほとんど関係ないんです。

そもそも住宅に定価などありませんから、数百万円の値引き代を見積書に上乗せして、提示することなんかは日常茶飯事ですからね。(大手ハウスメーカーの得意技です)

この方、いろんなことに挑戦されています。

御社のマニュアルやwebサイトを参考に、3階屋根の断熱材をプラスし「170mm(グラスウール12k)+90mm(高性能グラスウール16K)」としました。
2階の勾配天井の屋根部分には遮熱シートを追加しました。
追加で制震テープを施工しました。
世帯間の壁は防音とするため、「石膏ボード+防音シート+石膏ボード+ロックウール100mm+石膏ボード+防音シート+石膏ボード」で仕上げています。
どれも完成してからでは追加することが難しいところです。
また、ハウスメーカーはどの工事も良心的な価格で対応してくれました。

う~ん。いろいろされたんですねぇ・・。
すべてがすべて、相談されているわけではないので、あとで聞くと驚きです。
このあと、営業マンの評価、現場監督の評価に続きます。

良い営業マンに巡り会えた(2011.02.07)

20社回ったこの方、その会社の営業マンについては、次のようにコメントされています。

良い営業に担当いただきました。
営業は当方の質問や課題を真剣に対応してくれました。
地盤改良、制震テープ施工の価格交渉。契約金後払いや特約についての本社との交渉。
設計担当への構造計算やり直し依頼など、施主の立場で仕事をしてくれました。
後から聞いてみたら当ハウスメーカー1番の売り上げをする営業でした。
ただ、当方ハウスメーカーを20社以上見ましたが、私の質問に、しっかり回答してくれた会社、営業は3、4社しかありませんでした。
後払い、住宅性能評価、特約についてしっかり検討し、回答してくれた会社、営業となると1社しかありませんでした。たまたまその会社が当方の金額的にも合致する会社でしたから、自分の納得する家作りができました。

3世帯同居である。3階建てである。耐震、断熱、耐久性といった部分の性能はそれぞれ最高性能であること。
そして、性能評価制度を受けること

さらには、支払いは、契約時と着工時に工事費の1割程度だけで、後の残金は全て完成時であること
さらにさらに、11項目に及ぶ特約事項を求めました。

まぁ、並の業者なら、最初にこれを全て言ったたら、きっと、『くわばらくわばら。クレーマーになられたら大変だ』なんて思って、手を引く業者もいるでしょうね。

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11項目の特約、曖昧さを無くす(2011.02.08)

さて、11項目に及ぶ特約って書いてきましたが、どんなことを書いたのでしょうか。
少し代表的なことだけをご紹介してみます。(平易な表現に変えています)
甲とは建築主。乙とは住宅会社のことですよ。

乙は変更指示を受けた場合は、直ちに請負代金の変更につき、その費用を見積り、甲の書面による同意がない限り、費用の増額を甲に請求できません。

厳しいですね。すぐに見積書を提示し、同意しないと費用を認めないとしています。
建築主から追加や変更の指示を受けても、仕事だけ先にしてしまい、後で見積書を出す。それを見た建築主が思っていたより高い追加請求でトラブルになることもよくあります。

こういった金銭トラブルは、日本人特有の「ナァナァの性格」、「物事を曖昧にする性格」から来ているのですが、それに厳しく釘を刺しています。

追加、変更工事が発生した場合は、その価格が低廉になるよう乙は十分に努力し、甲に説明をし、承諾を得なければいけません。また、甲からの提案は十分に検討しなければいけません。

上の追加変更についての努力義務を書いています。しなかったからペナルティがあると言ったものではありませんが、姿勢として大事なことです。

そして、この文面のすごいところは、『こんなこと、お互いに言わなくてもわかっているだろう』と半ば暗黙の了解であるべきことをキチンと書面にしていると言うことですね。

乙が倒産等の理由で、作業工程表において、作業日となっているにもかかわらず、作業が行われない日が10日以上にわたり、かつ、甲から乙に書面により作業を行うよう依頼してもなお作業が行われない場合、甲は乙の工事継続が困難と判断でき、代金を後日支払うことを条件に、建築中の建物の所有権を甲が得ることができます。この場合において、乙が行うことができる建築中の建物に係る費用の請求は、未完成の建築物であることから、本体価格に進捗度を掛けた額を上限とします。

わからなければ繰り返しよく読んでください。乙が倒産した場合の直後の手続きのことを書いています。

普通の住宅会社だと、『ウチは、この工事が終わる頃までに倒産などしませんよ。こんな文言は不要だ。失礼な!こんな非礼な客とは契約せん!!!』なんて感情的に考える住宅会社の社長もいるでしょうね。

あるいは、一番上のことでも、『小うるさい客やなぁ。追加があればキチンと見積もりを出すワイ。いままで、客とのトラブルなんかないワイ』なんて受け止める営業マンも多いかもしれません。

でも皆さん。ここまで強くなれますか??
くじけちゃいそうですね。

そんなことを言ったら相手を信用していないと思われる
きっと良い仕事をしてもらえない

上の2つも必ず返ってくる返事の一つですね。

実は、赤字・アンダーラインをしたそれぞれの感情は、『自分を信用しろ』という気持ちの代弁に他なりません。客が、『そんなことを言ったら相手を信用していないと思われる』と思うと同時に、住宅会社の側も、『ウチを信用できなのか』なんて考えています。

でも、それぞれが初対面の、しかも、一生で一回の大きな契約に、何の根拠もなく自分の信用を強要すること自体が、そして、相手を信用してしまうこと自身が、日本人的感覚の最たるものですね。

そんな曖昧な、お互い日本人同士的な感覚で物事を進めている人に限ってトラブルは発生しているんですねぇ。それは相手を信用しないといけないという変な美意識、それを暗黙のうちに利用している会社によってね・・・。

トップセールスマン(2011.02.15)

20社も当たられたこの方。次のように言っていますね。
後から聞いてみたら当ハウスメーカー1番の売り上げをする営業でした。

私も営業職の経験はありませんし、営業のための勉強なんか全くしていませんが、対人関係や仕事に行き詰まったときなど、若い頃にはたまに対人関係や営業職的な本を立ち読みすることもありました。

確かにそう言われてみれば、気力だけでガンガン当たってくる営業マン。目立つ営業マンであまりできの良い営業マンだ・・という人はいないそうですね。

普通の顔をして、普通に仕事をこなし、それほど目立たない。
良くしゃべり、よく目立ち、気がつき、立て板に水の説明・・なんて言うのはトップセールスマンになれないそうです。

逆説的に考えると、

  • 他社批判を良くする
    みっともないですが、それしか武器がないのです。
  • うるさくつきまとう
    押しだけで仕事を取ってきました。
  • 何かあれば「信用」と言う
    仕事は信頼関係だ、と言葉だけを知っています。
    信頼関係って言葉で出来るものではないことを知らないお馬鹿さん。
  • 契約を急かす
    早くしないと引き留められるだけの自信がありません。
  • 値引きをちらつかせる
    値引きでしかセールス手段が無いんです。

トップセールスマンは、そもそもこんな営業手段はあまり使わないかも・・・。

良い現場監督に巡り会え・・(2011.02.18)

さて、20社回られた方の現場監督の感想です。

良い監督に担当いただきました。

当初の監督は、別の支店の支店長に昇格したため、監督が代わってしまったのですが、支店長になっても、プライベートで数回現場を見に来ていただきました。
完成後、防音壁の前で大きな音と出して、防音ができているか自身でチェックするなど仕事熱心な方でした。また、交代後の監督もしっかりした方でした。
後から聞いてみたら担当営業が、当方があまりに熱心なため、対応できる監督を指名したとのことです。
良い方に巡り会え本当に良かったです。

この住宅では、世帯間の音を防ぐために防音工事をしています。
建築主ご自身が研究され、調べられた上で選んで工事も進めたのですが、研究熱心さは支店長になられた元現場監督も同様だったようです。
特殊な免震装置もありました。

本当はどの程度の効果があるのだろう。興味津々。良かったら次の機会に使えるぞぉ~。気になったから見に来る。それが支店長になられた方の気持ちでしょう。

建築業というのは、設計者も施工者も同じですが建築主の要望で鍛えられる部分があります。
建築主の要望が難しくて、途中で投げ出した人(会社)は大きくなりません。

新しいことを建築主の費用でさせてもらえる。
そこに感謝すると、新しいことはどんどん挑戦したくなるし、気になるから現場を見に行く。実際の効果を確かめたい・・。

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とにかくやってみることですね・・(2011.02.21)

20社も回られた建築主の方の話は、これでおしまいです。

実は、この話を書こうとしたのには、私の実体験と大きく関わりがあるからなのです。
そして、たぶんそれは、誰もが感じ、経験する『あること』なのです。
その戒めとして、こういう方もいるんだと、ご紹介をしたかったのです。

その戒めとは、
「やってみるもんや」
「伝えてみるもんや」
「投げださんことや」
「そういうもんや、と勝手に妥協をしないことや」
ということなのです。

私の安易な決断

私が今の家を建て替えたのは、ちょうど13年ほど前です。震災で痛み、台風時に建物がぐらつく感じを覚えていたので焦りがありました。

3社だけ当たって、「こんなもんだよなぁ」「3社回って説明と打ち合わせにこれだけ疲れるんだから、これ以上探せないなぁ」と思い、たった3社回っただけで決めてしましました。
たぶん、あと半年かけてちがう会社を探し、声をかけていたら、費用ももっと安くできたかもしれませんし、もっとも知らないことを知っていたかもしれません。

今から思えば半年の遅延なんて、何の影響もありませんが、あのときの半年の遅延は、まるで大きな障害のようにも感じていました。自分で決めた自分の時間に急かされていたのです。
そして、正直、3社だけの見積もり打ち合わせだけでも疲れました。

確かに、1.5階建てのような変な建物だったのでなおさらなのですが、でもそれを伝える、理解してもらう労力は大変でした。
そして3社の一社に決めましたが、疲れと焦りから自分に妥協したのです。

この経験はやってみるとたぶんわかると思います。
すでに建物を建てられ、このブログを読まれている方でもそういう方はいるのではないでしょうか。

「やってみるもんや」
「伝えてみるもんや」
「投げださんことや」
「そういうもんや、と勝手に妥協をしないことや」

どれも現代社会で欠けていることばかりだと思うからです。

20社も回る、私はそのことだけでも脱帽です。
諦めなかったから、自分に妥協しなかったから、見つけ出せるものもあるのだと思います。
そのことに脱帽なのです。

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