傾いた家の復旧費用

液状化による不同沈下。
あるいは造成地でも不同沈下。
いずれも家が傾きます。

3/1000程度では人体にも感じませんが、6/1000以上の傾きになると異変を感じ始めます。

では、どうやって直すのでしょうか。

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傾いた家を直す工法

耐圧版工法、アンダーピニング工法等等名称はいろいろですが、代表的な工法は『ジャッキアップで傾きを直す』という方法です。
強固な支持地盤が浅いところにあれば、「耐圧版工法」と言ってみたり、深ければ「アンダーピニング工法」と言ったりしますが、いずれにしても『ジャッキアップで傾きを直す』のです。

そして、支持地盤の深さにより、費用は前後しますが、ざっと500万円程度の費用はかかります。 代表的な「アンダーピニング工法」は、モグラのように床下の地面を掘り、そこに長さわずか1m程度の鋼管杭を、継ぎ足しながら固い地盤まで油圧ジャッキで打ち込んでいきます。

作業用の土を掘り出すのも、全て人力。まさに原始的坑道作業そのものですし、人がしゃがんで進める程度の高さしか掘らないため、杭の長さも短く、継いで継いで杭を足していきます。

そのために、数百万円という費用がかかりますし、極めて特殊な工事なので、誰でも出来る工事ではないため相見積もりを取る、競争入札をするといったことも出来ません。

費用は500万円、あるいは数百万円と書きましたが、単に建物の傾きを直す以外に、外壁や建具のゆがみなどの補修も発生するため、いずれにしても高額な補修費用になりがちです。

アンダーピニング工法の実際

下の写真は、「アンダーピニング工法」の実際の写真です。
写真なので広く感じると思いますが、実際にはしゃがんで前に進む程度の高さしか掘られていません。もちろん、投光器がなければ闇の世界です。
掘り出した土を運ぶのも全て人力です。

確認をしたわけではありませんが、実際の作業は外国人労働者風に見える人たちがしていました。
ただ黙々と土を削りだし、黙々と穴を掘り、黙々と掘った土を外に出し、そのために何度も何度も坑道を行き来し、ひたすら杭を継ぎ足す。まさに「黙々と」という言葉しか表せない仕事ですね。

たぶん、誰からも評価されない、決して日の当たらない仕事。
なによりも、-土だけが相手の-誰からも見られていない、誰も見ていない仕事です。
そんな仕事に就きたいと思いますか? ガードマンのなり手はいても、なかなかこの仕事のなり手はいないでしょうね。
そう感じられる過酷な作業です。とても長く続けられる仕事では無いと感じました。

実は私も、実際の現場を見るまでは、「傾いた家の復旧工事費はなんて高いんだろう」と思っていました。
しかし、実際の現場を見ると仕方ありませんね。誰もしたがらない仕事を誰かがしているのですから・・と感じてしまいました。

街の中の孤独なミニ坑道です。

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