多くの人は住宅購入のもう一つ大事なことを見落としています。
それは、住まいが、耐震性も耐久性も断熱性にも、みんな品質の幅を加えられる商品なのです。
つまり、最初から決められた商品があるのではなく、その人の価値観で住まいの性能を指定できる数少ない商品なのです。
自動車を買うとき、決められたバリエーションの中からしか購入することはできません。家電製品も同様に数ある機能の中からセレクトする場合が多い商品です。日用品や衣料も同様に与えられた商品を選んで購入します。
でも多くの消費行動の中で、住宅だけは誰もが必ず目を配る間取りやデザイン、住宅設備はもちろん、耐震性や耐久性、あるいは断熱性といった住まいの骨格となる部分の性能を自ら選択することができる商品なのです。
建売住宅(今では多くが建築条件付き)のほとんどは、なじみやすくとっつきやすい建物のデザインや住宅設備に広告の主眼がおかれ、これら住まいの骨格となる部分のアピールはほとんど行われていません。それは、これらの部分がわかりにくい、ということもありますが、購入を決める大きな要素となる土地という武器を持っていることも理由のひとつに上げられます。
反対にハウスメーカーなどの注文住宅では、土地という購入動機の要素がないため、高断熱・高気密、あるいはローコスト住宅といった品質をアピールする広告が多いのも特徴です。
また、中小建築会社では、健康志向住宅など、それぞれ独自の路線で他社との差別化を図る会社も多くなっています。
ハウスメーカーや中堅建築会社では比較的品質明示がしっかりしていますが、建売系住宅の購入では、どんなに便利な場所で、どんなに設備が良くても、末永くすむための性能に消費者はもっと目を向ける必要があるのではないでしょうか。