消費者である買い手は、日常の消費生活で品質格差がある商品であったり、一生に1度しか購入しないという商品を購入することはほとんどありません。
つまり、常日頃購入する物(商品)は、すべて安全であり、安心だ。どこの製品を買っても大きな違いはない、という今までの消費行動から来る錯覚が、ついつい建物も同じであろうという誤解を生み、盲目的に相手を信用する消費行動に結びついている側面があります。
もっとも、過度な猜疑心や疑心暗鬼も困りものですが・・・
説明しない業者、見ない、聞かない消費者
あまり根ほり葉ほり聞くと信用していないように思われるのでは。
「弊社を信用してください。悪いようにはしませんから」
相手を信じ、信用を重んじることは良いことですが、それに甘えて説明をしない業者。説明をうまく出来ない業者。口を挟まないことが相手を信用していると考えてしまう昔の悪い慣習が生産者(住宅業者)と消費者(建築主)の双方に残っています。
住まいは、出来合いのセーターを買ってくるのではなく、毛糸の種類や色、セーターの編み方、デザインのひとつひとつを選択し、そして、網み手の人に編んでもらう、という行為に似ているかも知れません。
また、唯一の消費者(建築主)と生産者(住宅会社)の直接契約です。では、よい生産者(住宅会社)を選ぶためにはどうすればいいのでしょうか。
それは、多くの人が必要を感じなくなってしまった力、人を見極める力、それは会話しかありません。
食品や日用品、衣料品を買うのに会話など必要ありません。家具や家電製品、自動車も自分がわからない部分を質問するだけで、後は何を選んでも早々当たりはずれはありません。
スーパーマーケット、通販、インターネットなどの消費活動の発展は、人々が会話をしなくてもいい世界がどんどん広げています。
私たちは商品を売っている人を見極める必要が無くなってきたのです。
でもたった一軒しかないオリジナルの住まいをつくろうとするとき、大数多くある生産者(住宅会社)から選ぶとき、いままでの物を選ぶように姿勢でうまくいくのでしょうか。