マイホームの基礎知識・構想、計画編住まいと法律・タイトル

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●基礎知識
戸建住宅4つの取得法
確認申請とは
住宅会社のバラツキ度

●構想、計画編
ライフステージを考える
ライフスタイルを知ろう
設計と工事に必要な時間
コラム:工期は何ヶ月が適正
いつ、どうやって家を持つ

●不動産取引の基礎
土地 建物をめぐる法律
不動産広告の見方
建物価格の目安
地価を調べる
不動産広告の種類と信頼度
不動産業者チェックポイント

●コラム&ミニ知識
人工減少社会と住まい
データから見る住まい
大中小、零細企業の比率
住宅20年の性能変化

●プランのヒント
○部屋の広さ
リビングの広さ
主寝室の広さ
子供室の広さ
フリースペースの注意点
ちょうどいい。マイスペース

○その他
収納のヒント
2階リビングの
メリット、デメリット

生活感が近くなる1/50の縮尺
風通しの良い家にしたい
シンナーバルコニーの薦め
南にある建物の影の長さ
○窓の科学
失敗した−!?第一位・窓
窓の大きさと配置の目安
窓の方角と人間心理学
【実践】 窓の配置・1階
【実践】 窓の配置・2階

 


 

 

 
ライフスタイルを知ろう

 今考えている住まいはどんなイメージですか。

 計画段階では住宅展示場に出かける。パンフレットを集めて眺め回し比較することもよく行いますが、自分のライフスタイルをしっかりと把握していないと思わぬ落とし穴に入り込み場合があります。

●広がりの錯覚

 錯覚の一つに広さの錯覚があります。それは、住宅展示場であれ、バンフレットであれ、テレビの一シーンであれ、その多くは現実の生活感とは異なった「夢」を売ることを目的としています。

 その中でよく聞く話は、住宅展示場では例外なく、大きな間取り、広い部屋を演出し、かつ、場合によっては小振りな家具を揃えて、より広く室内を見せようとしています。その空間の錯覚で「広がり」を錯覚させてしまう場合も多くあります。インテリア雑誌や家具の商品写真などもその傾向が強く、そのイメージに惑わされると大失敗をすることがあります。

 下のコラムでも書いていますが、自分に適した広さを知ることも大事なことです。

●趣味とあこがれ
 もう一つ陥りやすい点は、性格上しないであろう趣味などを「やってみたい夢」として思いこんでしまう場合です。
 代表例は「庭でするバーベキュー」といった事ですが、庭付き一戸建てに「あこがれ」その夢が叶えられれば一度はやってみたいという 「あこがれ」に引きずられてしまいます。
 あるいは新居が出来たら、玄関のニッチにはいつも花を飾っておこう。新しく薪ストーブを設けて、冬は暖炉の火をともそう。メタボ対策で週末はサイクリングをしよう・・・とイメージを膨らませても、後が続くかどうかはすべて性格次第ですね。
 もちろん、「夢」や「あこがれ」を持つこと自体は決して悪いことではありませんが、「夢」や「あこがれ」と「現実の生活感」のギャップを埋めていくことが、自分にマッチした住まいを作る第一歩なのです。
 つまり自分のライフスタイルをしっかりと思い描いておくことが必要かも知れませんね。

●収納は性格そのもの
 収納もその人の性格が良くあらわれる部分です。整理整頓がすきで得意な人、そうでない人。いつも室内がぐちゃぐちゃと乱雑な人それぞれです。
 そんな性格を一夜にしてなおそうなんて、無理。無理。無理。
 収納上手な人はしっかりした収納スペースを考え、そうでない人は、ザザッといれてしまえる大雑把な収納スペースの方が向いているでしょう。
 パンフレットを見ながら「いいなぁ。」と思いつつ、自分の性格、つまり、ライフスタイルと相談しながら プランを考えていく必要もあるのです。
 ライフサイクルと漠然と考えるよりも、ライフサイクルとは、自分たちの性格そのものですね。


●あこがれの大空間を作ったものの!!

 手広く事業をやっていた私のお知り合いが家を建てました。その方とは、店舗設計でのおつきあいだったので住宅の設計や工事はしていませんが、ある時新しく建てられた住宅の事が話題になり、
 「良い家になりましたか」 と私が尋ねたところ
 「やっばり、広すぎるリビングはダメだよ。8帖のダイニングにこってりと座っているよ。。。」という返事でした。

 「どうして・・」と尋ねると、その方曰く

 「いや〜。雑誌に載っている広いモダンなリビングにあこがれて30数帖の大きなリビングを作ってみたものの、なぜかスースーした感じで落ち着かなくてねぇ。せっかく暖炉も作ってみたんだが手間もかかるし、やっばり、こじんまりした小さな部屋の方が落ち着くよ。」

 という返事だったのです。

 この手の話、人には決して「広すぎた〜。失敗した〜。」なんて言わないでしょうが、よくある話なんです。インテリア雑誌やテレビでは、モノ一つ無いオシャレでモダンなリビングやキッチン、あるいは寝室といったものを演出しています。
 だれしもそんな空間にあこがれます。
 でも人間には、「落ち着くのに適した空間の広さ」があり、「ある程度のざわめき感」というものが必要なのです。それを無視してしまうと逆に全く落ち着かない空間、結局使わない空間になってしまうのです。

 では適切なサイズとは何でしょうか。私は昔で言う4帖半だと思っています。これは布団を使って就寝する場合の日本人の適切な一人サイズなんですね。ベッドを入れる場合は6帖の部屋でしょうか。
 だから今もって、子供室(洋室)の基本的な部屋は戸建て住宅もマンションも6帖が基本になっています。つまり普遍的でオーソライズされた広さなのでしょう。もっとも、マンションの場合はきれいな6帖はとりにくいので5.7帖といった歪な広さですが、それでも一生懸命6帖に合わせようとがんばっているのですよ。

 写真や雑誌、あるいは家具のパンフレットに載っているインテリア写真も、「広い空間という夢」を売っているだけで、実際の生活にはマッチしないのです。


多目的室の効用
 最近では2階の階段スペースなどに、ホビールームや多目的室、フリースペースといった表現で多用途に使えるオープンなスペースを配置している例が多いですが、このような考え方も将来のライフスタイルの変化には良いことです。

 実際に若い頃からの趣味をずっと続けている人もいれば、新しい地域で新しい友達と出会い、新しい趣味を始める人も多くいるでしょう。
 「あぁ。せっかくパッチワークを始めようと思ったのに、散らかしておける場所もない」では、困りますね。そういうときには、最初に計画しておいた多目的コーナーも大きな強みを発揮することになるでしょう。

 でも、このようなコーナーも実際に使用するためには、エアコンなど”空間が快適になる装置”を付けていないと、”ただの暑い、寒い大きな廊下”のコーナーに成り下がってしまいます。

 上の「あこがれの大空間を作ったものの」で書いているように、せっかく作っても広さだけでなく「快適に過ごせる装置」も必要なのですよ。


江戸時代の長屋
 時代劇でいつもおなじみの江戸時代の庶民の長屋はどの程度の広さだったのでしようか。
 なんと、幅2.7m、奥行き3.6m程度、今の6帖に相当する広さで家族がすごしていたようなのです。
 入り口の土間を上がるとわずか4.5帖程度しかありません。
 その中には「寝具」「衣料を入れた柳行李」「煮炊きをするかまど」「たんす」などが置かれ、日々の生活が営まれていました。トイレは共同トイレ。風呂はもちろんありませんが、銭湯は「湯屋」と呼ばれ、いまのような水を張った浴槽ではなく、いわば蒸し風呂で浴槽に湯を貼った銭湯が現れるのは江戸中期以降のようです。
 ちなみに家賃は、平均的な職人の1ヶ月の収入の1割弱程度のようでした。(江戸後期、収入10万円/月、家賃7、500円)出典:江戸の庶民の朝から晩まで

 現代から考えるとすさまじい狭さですが、家賃自体は高くなかったようですね。


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