さて、地域地震係数を使うとどうなるのでしょうか。
耐震等級2または3の場合は、下の図のように、
「床面積 x 地震係数 x 上下階比率 x 地域地震係数」です。
これは、壁量計算という方法での求め方ですが、構造計算でも同じで、
「建物の自重 x 層せん断係数 x 地域地震係数」となります。
そして、地域地震係数を使うかどうかは任意です。
そうすると、仮に地域地震係数が0.8で良いと指定されている地域を例に取り、1階が100u、2階が80uの住宅で計算してみると、図のように地域地震係数を考慮しなければ、耐震等級2では、等級1の1.37倍の強さになるのにたいして、地域地震係数を加味すると、たった1.09倍、言い換えれば等級1(建築基準法)にほんの少し毛が生えた程度の安全度でしか無くなってしまうのです。
耐震等級3も同様に、何もしなければ1.64倍の強さだったのに、地域地震係数を加味すると、耐震等級2程度の1.31倍程度に耐震性が下がってしまいます。
地域地震係数は、地震の確率が少ないという理由から決められているのだろうと思いますが、0.8の地域で起きた福岡西方沖地震などの例のように、あるいは地域地震係数が0.9の地域で見られた新潟中越地震を含む幾多の地震のように、これらの地域だから、地震は起きない。あるいは起きても地震の力は弱いのだ・・というものでもありません。
もし、この地域で住まわれている方が、
「長期優良住宅は耐震等級2が必須だから地震にも安心だ」
「耐震等級2または3にしておけば地震に対して安心だ」
というお考えで、耐震等級2または3を目指されるのであれば、
地域地震係数を考慮しない計算をするように、設計者に求めるべきでしょうね。
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