悪質リフォーム会社の手口はある意味で簡単です。
私がご相談を受けた方は、すでに定年退職されて、しばらく経た老夫婦の二人住まいです。それまで勤められていた会社は大手。
いわば、無事に勤め上げて悠々自適の老後生活の最中だったのかもしれません。
建物は、阪神大震災にあったものの、瓦がずれて屋根瓦の吹き替えをした程度の被害で済んだ築30年ほどの建物です。(でも葺き替えから10年と少ししか経っていません。)
■不安を煽る!!
『瓦がずれています。このままでは地震でもっとずれてしまいますよ。』
『床下が湿気ています。このままでは、建物が傷み、腐っていきますよ。』
全くリフォーム詐欺の定番の言葉に乗らされてしまいました。
■微妙な金額
そして、最初に契約したのは屋根瓦の修理で60万円。
実は、この金額がポイントのようなのです。つまり、100万円を超えるような大きな金額ではない。かといって2〜30万円の彼らにとっての端金(はしたがね)でもない。
100万円を超える契約をするには躊躇するが、60万円程度なら、いざとなれば、預金口座からいつでも都合出来る程度の金額ですね。
そして、前段で、合計260万円の工事を紹介しましたが、手口としては一度に全額の契約をしていません。まずは、あまり躊躇しない支払いやすい少額の契約です。
でも実はこの程度ならまだ良いのです。
普通は工事着工までに、ちょっと時間がありますから、その間に気が変わってキャンセルするということも考えられますね。
■有無を言わさぬ着工(クーリングオフを使わさない−速攻)
さて、うまく契約を済ませた彼らは、そんなに悠長な時間を与えてはくれません。夜に契約したと思ったら、翌日には、もう工事に入っていたそうです。(あるいは翌々日だったのかもしれません)
いずれにしても、クーリングオフも、よく考える時間も、誰かに相談する時間も与えず、工事に入るのが特徴です。
■断れない仕組み
実は、ここが一番のポイントです。
人間と言うのは、「間がさして」少し悩んでいたとしても、あっという間に工事にこられたら、「ちょっと考えています。工事を待ってください」とはいえません。
なぜなら、昨日、自らから契約をしているからです。
確かに契約をしたのは自分です。
これは、人の弱みと言うよりも、自分が自ら契約をしてしまった。自分にも落ち度がある・・という引け目の心理状態になってしまいますね。目の前に職人が来れば、「もう、少し工事を待ってください」とは、もういえません。
それも60万円という、そんなに困ってしまう金額でもありませんから、なおさらです。
あとは成り行き任せです。 考えさせず一気に契約に持ち込み、一気に工事をし、相手を萎縮させてしまえば勝負ありです。あるいは考える隙を与えない速攻です。
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