ハウスメーカーは、大量仕入れやメーカーの自社仕様による一括発注により、工務店よりも安く材料を仕入れることができます。
しかし、工務店は企業規模も小さく、発注数量も小さいため納入コストはハウスメーカーよりもはるかに高い原価になっているはずです。ではなぜ、両者の坪単価が比較的似てくるのでしょうか。
その秘密は広告宣伝費と人件費にあります。
大量のカタログ製作、展示場への出店、高い人件費、総務、経理などの間接部門の経費がローコスト化した費用で支えられています。
つまり、ハウスメーカーは工事原価は安いけれども、広告宣伝などの経費にお金がかかり、工務店は工事原価は高いけれど、広告宣伝費や人件費は安いのです。
材料と品質が違うの?
ハウスメーカーと工務店は使う材料、下請けが違うのでしょうか。
いいえ。ほんの一部の例外を除いて、住宅のために使っている材料のほとんどは、建築会社とは全く別の建材あるいは機器メーカーのものです。
使う材料によって品質に差が出ることことはありえません。
また、使っている下請けも同じです。
でも下の図でわかるように、ハウスメーカーの方がコスト管理(下請け叩き)は遙かに厳しいです。
よく『弊社は直営工事ですから・・』といっているのは真っ赤なウソで、正確には『弊社の下請けはすべて専属下請けですから・・』というのが正しい表現ですね。どんなハウスメーカーでも自社で大工や左官屋といった職人を雇用(社員雇用)しているところは基本的にありません。
工務店は、下請けとは緩やかな共同体。
「今回はお客さんに無理を言われたから、おたくも協力してよ」 ハウスメーカー、建売系の下請けとは上意下達の縦構造
「この建物の支払い金額は○○。工期は○○。品質はいつも通り」下請けは文句の良いようも無いかも・・・・・
言い換えれば、工務店は下請けと一緒に仕事をする。
ハウスメーカー、建売系は下請けを管理する・・といえば言い過ぎかな?
ちょこっとCOLUMN
高い給与、広告宣伝費
小さな工務店と上場クラスのハウスメーカーを比べれば、社員の給与や間接経費はハウスメーカーの方がはるかに高いです。
そして、展示場やパンフレットなどの広告宣伝費の負担。
価格が同じなら、工事原価(下請けへの発注価格)をさげる以外には方法はありません。
零細業者生き残り策
営業力の乏しい零細な建築会社では自主独立で注文住宅を受注するか、大手ハウスメーカーや建売業者の下請けになって生き残るかのどちらかしかありません。
前者も競争相手が多くいばらの道。後者は徹底的に値切られるけれども売上は確保できる。
どっちに転んでも生き残りの難しい時代です。