省エネ住宅は6割を占める
2017年の統計によれば、住宅の約60%は、「省エネ住宅」で建てられているそうです。
そういえば大手ハウスメーカーは言うに及ばず、年間100棟程度は建てる中規模ハウスメーカーや建売業者でも、もはや「省エネ住宅」は当たり前です。
注:ここで言う省エネ住宅とは、性能表示における「断熱等級4」以上の住宅の事です。
延床面積300㎡越えは適用義務化
300㎡未満は、説明の義務化
また、現在では延床面積300㎡以上の住宅は、省エネ基準の適用義務化が始まり、300㎡未満の戸建て住宅のような小規模な住宅でも、建築士はその住宅の省エネ性能を建築主に説明する義務が課せられました。
言い換えると、現行では延床面積300㎡未満の住宅では、どの程度の断熱性能を付加するかは建築主の任意となっています。
住宅の耐震性能の向上は一段落し、今後は住宅の省エネ化でしょうか。
そう。省エネ住宅は当たり前の時代になろうとしています。
断熱性能の流れ
昭和55年→平成4年→平成11年と改正続く
住宅の断熱性能の基準が始めて示されたのは、昭和55年で、当時の断熱性能を現行の住宅性能表示制度では「等級2」としています。
そして、平成4年の「新省エネルギー基準」、平成11年の「次世代省エネルギー基準」とどんどん性能の強化が図られました。
平成25年計算方法の全面改正、2本立ての等級基準(一次エネルギー消費量等級の新設)
平成25年に計算方法などの改訂が行われ、また、新たに「一次エネルギー消費量等級」というものも新設されました。その後、27年にも小改正をして、現在の「平成28年基準」が確定しました。
とは言うものの、断熱性能そのものは、平成28年基準も平成11年基準もほぼ同等の性能です。
一次エネルギー消費量等級は、現在のエネルギー消費基準よりも10%程度一次エネルギー消費量が低い住宅を「一次エネルギー消費量等級5」としています。現行の「低炭素住宅」がそれに当たります。
「断熱等級5」というのはありませんが、いわば「断熱等級4」の上をいく性能と言えます。
ZEH住宅(ゼッチ住宅、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
そして現在、政府が力を入れているのが、ZEH住宅(ゼッチ住宅・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)です。
ZEK住宅は、建物のより高い断熱化を計り、かつ、省エネ化した住宅設備を用い、再生エネルギーの活用などを行って、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅です。
(注:一次エネルギーとは自然界の加工されていないエネルギーのことで、電気やガソリンは二次エネルギーと言います)
ZEK住宅は、「ZEK住宅」、「ZEH住宅+」、「次世代ZEH住宅+」という3つの省エネ性能の違いに分かれ、それぞれに補助金の額が異なるようになっています。
また、別の視点からは、LCCM住宅(ライフサイクルマイナスカーボン住宅)として、住宅の先決から解体破棄までの一生涯を通じてCO2の収支をマイナスにする住宅の基準も設けられています。
政府が力を入れる補助金
このような事から、ZEH住宅、LCCM住宅の普及促進を目指して、国土交通省、環境省、通商産業省など3つの省を縦断する形で補助金制度が作られています。
そして、政府は2030年には、「ZEH住宅」が住宅の半分程度なっているような施策を続けていくようです。
注:補助金の額は年度により変化することが多く、具体的に補助金の額はリサーチをしてみてください。
「省エネ住宅」というネーミングについて
「省エネ住宅」という言葉は極めて曖昧な言葉ですね。
どれをクリアすれば「省エネ住宅」なのと思ってしまいます。
このサイトでも、「省エネ住宅」「平成28年基準」等々、言葉について統一されておらず、いくつかの用語を使っています。
これは、上の「断熱性能の流れ」でもあるように、平成25年の改正までは、その当時のもっとも高い断熱性能を表す基準が「次世代省エネルギー基準」となっており、「省エネ住宅」とは、「次世代省エネルギー基準」をクリアした住宅だと言えたのですが、平成25年の改正以降、ZEH住宅なども新設され、「省エネ住宅」の定義が曖昧になっていた時期がありました。
現在では、「省エネ住宅」というネーミングが、現行の「断熱等級4」であるという位置づけになり、一般的に目標とすべき省エネ性能の基準となっているようです。
そして、以前使われていた「次世代」というネーミングは、「ZEH住宅」のなかのより省エネ度の高い住宅である「次世代ZEH住宅」というようなランク付けに使われています。