近年の断熱性能比較
近年の住まいはどのように変化していったのでしょうか。
暖房のための燃料消費の面から調べてみましょう。
基準値は、温暖地の一般的な在来軸組工法の住宅です。
(注-省エネルギー融資を受けていない住宅です)
表の見方 | 暖房2.3 | 温暖地の標準的な住宅を基準に、材料や断熱材の違いによる冷暖房燃料費の比較。 | |||||
実際には、換気量やすきま風の影響があり、若干異なりますが、単純に断熱の比較をしています。 | |||||||
2.3とは、標準的住宅を1.0とすれば、2.3倍の燃料代がかかるという意味です。 | |||||||
断熱効果の目安として考えてください。 |
外壁の断熱性能の変遷と断熱性能の比較
2,30年前の昭和40年代の住宅と比べても、確実に断熱化は進んでいます。
次世代省エネルギー基準の断熱化をすれば、さらに断熱性能はアップします。
注:次世代省エネ基準と平成28年基準はほぼ同じです。
屋根の材料の違いと断熱性能
日本瓦は、下地に土を葺くもっとも古典的かつ、瓦としてもっとも断熱性能が高くなる方法で検証しましたが、現代の断熱材を天井に敷き詰める方法には、とてもかないません。
次世代省エネルギー基準では、現在の倍の断熱性能を要求しています。
注:次世代省エネ基準と平成28年基準はほぼ同じです。
床の材料の違いと断熱性能の違い
標準は、公庫の最低基準の断熱です。
畳は意外と断熱性能がよいですが、公庫省エネルギー融資、そして次世代省エネルギー基準との断熱性能の省エネルギーの差は歴然です。 注:次世代省エネ基準と平成28年基準はほぼ同じです。
窓の断熱性能比較
上の図は、 現在用いられているサッシの断熱性能を比較したものです。
単板ガラスのサッシでは、木製サッシが一番性能がよく、複層ガラスを用いると、同じアルミサッシでも、60%の省エネルギーにつながっています。
ただ、結露等の問題を考えれば、アルミサッシより樹脂、樹脂より木製サッシの方に軍配が上がります。
サッシの種類と価格
窓やドアから熱が逃げていく割合は非常に多いものの、窓やドアの断熱化には非常に高いコストがかかります。現在、いろいろな建材メーカーからいろいろなタイプの断熱サッシが発売されるようになりました。まだまだ価格的に安定した状態ではありませんが、一つの価格目安としてご覧ください。次ページでも説明していますが、断熱サッシは非常に多くの組み合わせとその組み合わせにより、断熱性能も変化していきます。また、上の性能比較は、実際のサッシ枠とガラスの組み合わせによっては大きく変化します。
熱の逃げていく、あるいは入ってくる部分の割合
損失熱量割合外気の熱気や冷気、あるいは室内の温度が逃げていくのは、建物の屋根や外壁などの部分からだけではありません。気や建物自身のすきま風があり、屋根・外壁・床と比べても窓からの損失も非常に大きなものがあります。
右のグラフは、その割合をイメージ化したものですが、建物の断熱の程度や換気量の多少によって大きく変わってきますが、建物の断熱化以外に、換気や窓が大きな影響を与えているのは事実です。
マンションの方が暖かい理由のなぞ
前のページでも、コンクリートの方が断熱性能が劣っていると書きました。
マンションと在来木造住宅の両方に住んでみればわかりますが、マンションの方が室温変化が少なく、冬は暖かいものです。そして、住宅金融公庫の省エネルギー融資基準でも、木造よりはマンションの方が断熱材の厚みは少なくなっています。(温暖地域)
気密性の違い マンションの気密
マンションと木造では、構造上の気密性が大きく異なります。
すきま風の入りにくさが20%程度、断熱性能をカバーしていると考えられます。
外気に面する面積の違い
マンションで外気に面しているのは、両端の住戸を除いてはバネコニーと玄関側しかありません。
戸建て住宅の5面丸々外気と接していることを思えば、その差は大きなものがあります。
その反面、コンクリート自身の断熱性能の悪さから、マンション最上階の断熱が不十分な住戸は、人並み以上に熱い思いをしているはずです。