隙間が良くない
実験-2では、わずかな隙間があるだけでも隙間のない材料の10倍の水分(湿気)を通過させてしまうことがわかりますね。
また、材料の透湿抵抗の値も、実は材料単体の透湿抵抗の値でしかありません。
では、隙間はどうして生じるのでしょうか。それは、下表のアスファルトルーフィングの材料単体の透湿抵抗値が300なのに対して、完全施工をしても材料性能値の半分以下になってしまい、雑な施工だと6にまで透湿抵抗値が下がってしまっています。このように、透湿抵抗は、施工精度に大きく依存していることがわかります。
つまり、いくら防湿効果の高い材料を使っても、施工精度がいい加減、つまり、隙間だらけでは全く意味がないことになります。
材料名 | 透湿抵抗 |
アスファルトルーフィング(材料自体) | 300 |
アスファルトルーフィング(完全施工) | 137 |
アスファルトルーフィング(雑施工) | 6 |
MEMO 公庫仕様書や断熱材メーカーの施工資料では、防湿層は連続して貼らなければならないと書かれ、欠損部分は、防湿テープで補うように書かれています。でも、教科書に書かれているようなことが、実際の現場で可能なのでしょうか?
施工の実態
Aの写真は、何も障害物が無く、公庫仕様書通りにきれいに貼られた防湿層です。でも、BとCの写真は既成の断熱材を使っているために寸法が合わず、上と中間部分は隙間が生じています。Dは、換気用のダクトを取り付ける部分ですが、防湿層は破らざるを得ません。
Eも配管が集中すれば、防湿層を連続的に貼ることは不可能です。
FとGは、細切れの下地構成になってしまったために断熱材を押し込み、Hでは、防湿層を捨てて断熱材だけを入れています。Iの写真はコンセント廻りの断熱材です。Jは、筋交いが邪魔をして断熱材を筋交いの後ろに押し込んでいます。
つまり、実際の現場では、やむを得ず防水層を連続出来ない箇所が随所に出てきますし、2X4工法よりも軸組工法(在来工法)の方が筋交いや金物が多用される関係で多く発生しています。そして、これらの部分では、実験-2の1m2当たり2cm角以上の大きな隙間が生じていることになります。